持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2011-01-01から1年間の記事一覧

模擬授業

「国語科教育法」 教員免許を取得するには教科教育法を履修する必要があるわけですが、私の場合は1995年に「英語科教育法I・II」を履修して以来16年ぶりの「国語科教育法1・2」の履修です。その中で行う模擬授業も16年ぶりです。複数教科の免許を取る場合…

授業のこと

学級という集団 講義形式の授業では、講義を聴くか聴かないかは学習者の自由であるとして、一方的に進めていくことも可能です。しかし、講義を聴く動機付けが高い方が実りのある授業になるのは当然です。講義形式以外の、学習者がより主体的に参加する形式の…

英語教師が国語教育を学ぶ以上の問題

盲点 すでにこのブログでも何度か書いていますが、私の教師としてのキャリアの大半は、塾や予備校、そして資格試験予備校でのものです。そこでの授業の多くは講義形式によるものです。このため、授業の技術も話し方と板書の仕方の2点に集約されます。高校英…

全国大学国語教育学会高知大会

学会発表のこと 先週末に高知大学で行われた、全国大学国語教育学会高知大会に参加し、発表してまいりました。「古典の「訳読」で育む現代語の力」というテーマで、古典の現代語訳が現代日本語の表現力の向上につながるという提案を、翻訳理論や第二言語習得…

後期授業開始

秋学期ではない。 所属している研究科は卒業は秋でも可能だが、入学は春にしかできない。なので、「秋学期」ではなく、「後期」である。その後期授業が始まった。学部授業も聴講しているので、また忙しくなる。学部授業は学部生の発達段階(?)に合わせてシ…

私の英文法指導歴(その3)

はじめに ひき続き、id:anfieldroadさんの「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!」の第2回「英文法指導」に参加するために書いています。 「受験英語」から距離を置いて考えたこと 英和辞典の執筆や校閲に携わる機会を得て意識したのは、日本語を母…

私の英文法指導歴(その2)

はじめに ひき続き、id:anfieldroadさんの「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!」の第2回「英文法指導」に参加するために書いています。 語順提示の探究 学部4年の1996年、『英語教育』で大場昌也先生による「新しい学校英文法のための5つの提案…

私の英文法指導歴(その1)

はじめに このエントリーは、id:anfieldroadさんの「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!」の第2回「英文法指導」に参加するために書いたものです。 大学学部時代 私は、大学受験が終わると、学部入学前の1993年3月から個別指導塾で英語を教えるよ…

古典文法のこと

英文法と比べて思うこと 先日の慶応の学習英文法シンポジウムで、日本語を母語とする学習者の英文法学習のあり方をめぐって議論が交わされた。それと比べると、古典文法のあり方をめぐる議論はあまり活発でない。古典教育において古典文法は障害であり、それ…

私の立場(その4)

意外に抜け落ちている視点 日本語を母語とする英語学習者のための英文法という位置づけで教育文法を考えた場合、当然ながら、学習者の母語は日本語でEFL環境で英語を学ぶという前提に立つ。しかし、ここには意外に見落とされている視点がある。それは、日英…

私の立場(その3)

英語学習にとってコアとは何か まず、拙ブログで過去にコアについて論じているので、そちらのご紹介。 http://d.hatena.ne.jp/ownricefield/20080317 http://d.hatena.ne.jp/ownricefield/20080320 http://d.hatena.ne.jp/ownricefield/20080322 そして、私…

私の立場(その2)

「アルゴリズム」について 英語教育の領域に「アルゴリズム」という概念を導入した試みに大沢・駒林・佐々木・福士(1968)がある。大沢らはアルゴリズムを「ある類(クラス)の問題を解くための有限回の構成的手続(又は指図、指令)」(大沢ら1968:52)と定…

私の立場(その1)

慶應義塾大学英語教育シンポジウムに参加して 9月10日に行われた、慶應義塾大学英語教育シンポジウム「学習英文法−日本人の英語学習にふさわしい英文法の姿を探る−」に参加して、自分なりに学ぶところ、思うところを得た。そこで拙ブログでも過去に書き綴っ…

デビュー

国語教育での著作 明日の授業をどう創るか―学習者の「いま、ここ」を見つめる国語教育作者: 町田守弘出版社/メーカー: 三省堂発売日: 2011/07/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るこの本に「国語教育と英語教育の連携に向けて−文法教育を中…

平成10年告示高等学校学習指導要領「国語」における「国語総合」

1 目標 国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力を伸ばし心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。 2 内容 A 話すこと・聞くこと 次の事項に…

平成元年告示高等学校学習指導要領「国語」における「現代語」

ちょっと気になったので引用しておきます。再評価すべき科目だと思います。 1 目標 国語を的確に理解し適切に表現するために必要な知識、技能を身に付けさせるとともに、言語に対する関心を高め、現代の国語の向上を図る態度を育てる。 2 内容 次の事項に…

「慣れ」ということ

読解文法・表現文法 原理を理解しない丸暗記を否定するというのは、出講している予備校の大先輩がよく仰っていることである。では、原理を理解して言語知識を記憶に定着させ、さらにそれを言語運用につなげていくにはどのような学習活動が必要なのだろうか。…

全国大学国語教育学会京都大会

断片連鎖 京都の学会は有意義だった。自分の研究に直接関わってくるような研究発表はなかったが、発表者が引用している文献、あるいは発表者自身が過去に執筆している論文などに、自分の研究を進めていくのに役立ちそうなものがいくつかあった。研究に必要な…

漢文生活(その3)

訓読の脆弱性 漢文訓読において、助字の訓読の仕方をリストにして覚え、それを文脈に即して使い分けるようにと言われることがある。その文脈は何を理解することによって把握できるのか明らかにしてくれる教師は少ない。助字の訓読の仕方についても複数の訓読…

専門性

排除の口実 人文系の人間のせいか、「専門性」という言葉に嫌悪感を覚える。「専門性」という言葉でプロパーの研究者以外を排除しようとしているようにすら感じる。私自身は英語教育も国語教育もどちらも「専門」という感覚はない。どちらも生業にすぎない。…

漢文生活(続き)

『英文解釈教室』の「はしがき」から考える 現在私が出講先の予備校で担当している教材に英語構文を扱うものがあるが、これは『英文解釈教室』(伊藤和夫、研究社)の読解文法を扱う教材であると言える。その『英文解釈教室』の「はしがき」に「いわゆる公式…

漢文生活

学部の科目等履修生として 現在、国語科の教員免許を取得するために教育学部で科目等履修生として1種免許に必要な単位を修得している。履修している科目の中に、で、「漢文学」に関する科目として「中国文学演習」という科目がある。平たく言えば、漢文を講…

ご無沙汰のわけ

進路のこと 一昨年の4月に大学院の科目等履修生として国語教育の授業を聴講し、昨年4月に正規の大学院生として入学し、国語教育と英語教育との連携における国語科教育の役割という視点から、文法教育について研究してきました。古典教育に対して現代的な価…

新年度ですが・・・

まずは近況など 前回の更新が3月10日で、震災後初めての更新となります。あれから更新がないと、いろいろと心配されたかもしれませんが、私は無事です。3月11日の午後は大学の研究室にいて、校舎の9階ということでかなりの揺れで、本などが散乱する前に脱出…

いわゆる構文主義と私

『英語構文詳解』と『英文法教室』 高2から高3にかけて取り組んだ学参に『英語構文詳解』がある。この本は整序問題を解くことを通じて英語の構文に習熟していくという趣旨のものである*1。教養主義といわれるような難解な文章を訳読させるのとは違った方法…

高校時代と英語

感覚から体系へ 中学までの自分の言語学習においては、「コミュニケーションvs文法」のような図式を無意識のうちに頭の中に構築していた気がする。英語を話したりすることが善であって、文法などをやるのが悪であるという考え方が、どこからともなく刷り込ま…

小中学校時代と英語

学習開始 前回も書いたように、私の英語学習は小学校6年の時に本格的に始まった。そのときは、まさにTnis is a pen.で始まるような教材で始めたのだった。どんな発音で発せられる言葉なのかはもちろん、どんな場面で使う言葉なのかも分からないまま、書いて…

私の英語学習歴

はじめに このエントリは、id:anfieldroadさんの企画、「英語教育ブログみんなで書けば怖くない」への参加の一環として書いています。 小学校高学年 私が英語学習を始めたのは小学校6年の時で、当時の小学生の中では遅い方であったと思う。3〜4年のころから…

新学年へ

2月から3月、そして4月へ 予備校でも、塾でも3月になると新学年へ向けて動き出す。私の出講している予備校でも2月で高1高2の通常授業がひと区切りである。4月からテキストを使用して行ってきた授業が、ここで終了となるのである。この時期は予備校講…

ダメな月

久しぶりの「春休み」 大学院は現在「春休み」である。学部を卒業して以来の「暇」な2月である。もっとも、学部卒業後も予備校講師専業の時期があったので、その当時も暇ではあった。だが、学生の休みとは何となく違う。入試期間もあり、自由に大学に出入り…