持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

英総研での研究発表について

ご案内 いつもブログをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。現在、阿部一英語総合研究所(埼玉県朝霞市・阿部一所長)が主催する勉強会/研究会で研究発表をしておりますが、その内容は学習文法(pedagogical grammar)に関するもので、このブロ…

学習文法における統語論④

文の名詞化/形容詞化/副詞化 変形規則によって生成した統語形式を句構造規則に組み込むには、文を名詞、形容詞、副詞にそれぞれ転換させることが必要である。この転換のプロセスを段階的に図示することで、学習者は統語形式相互の関連が捉えやすくなる。段…

学習文法における統語論③

学習過程と統語論 斎藤(1971)が提唱した「言語能力練習」と「言語運用練習」の区別は、言語の正確さを身につける上では重要である。前者の具体的な方法としては、機械的なドリルが依然として有効である(阿部2006)。統語知識を身につけていくには、こうした…

学習文法における統語論②

文を構成する要素 単文の基本構造が、S+V(+X+X)だとすると、これらの要素を展開する規則を明らかにする必要がある。 S→NP X→NP/AP/ADP ここで「句」という概念をどう扱うかが問題となる。この問題と学習文法に句構造規則を用いることの有用性については、以…

学習文法における統語論①

単文の構造 生成文法を学習文法に援用する試みには、核文を重視するものが多く見られた。これは複雑な構造を持つ英文を核文に還元して理解していくために必要なものであった。大塚(編)(1970)は、深層構造設定後の生成文法における核文の定義を、深層構造に…

学習文法における統語論の全体像

全体の枠組み 学習文法における統語論の枠組みは次のようになろう。 単文の構造 文型 文を構成する要素 動詞要素を生成する規則 名詞要素を生成する規則 形容詞要素を生成する規則 副詞要素を生成する規則 文を埋め込むための変形 文を名詞化する変形 文を形…

学習文法における統語論と意味論

生成意味論の直観的優位性と、自律統語論の学習経済性 生成意味論は、意味から統語形式を生成する理論である(Lakoff1971, 1976)。英語学習において、「自分の言いたいことをどんな統語形式で言い表したらよいか」や「目の前にある統語形式がいったいどんな…

『中等国文法別記口語編』を読む(その2)

文法と言語観 時枝(1950)は、当然ながら彼の言語過程説と呼ばれる言語観によって構成されている。この言語観は、「言語をもって、話し手(言語主体)が自己の思想を音声又は文字によって外部に表現する話し手の心のはたらきそのものであるとした」(1-2)と…

『中等国文法別記口語編』を読む(その1)

文法の任務・目的 時枝(1950)の巻頭には、国文法の任務・目的について述べられている。 文法の学習は、他人の話や文章を理解し、或は自己の考えを表現するに必要な「ことば」の法則を学習し、これを身につけることである。 文法の学習は、それが購読や作文に…