2008-01-01から1年間の記事一覧
「英語の授業は英語で」の陰で・・・ 新学習指導要領案が発表された。英語の授業は英語で、というところにマスメディアは注目しているようだ。だか、これと同じくらいに重要な改訂ポイントがあるのに、あまり取り上げられていない。それは「読み」を扱う独立…
「文章付きグラマー」からの脱却の苦悩 年度途中から高校の非常勤講師を務める機会を得て半年が経ち、3年生の授業が無事終了した。この半年で一番苦労したのは、リーディングの授業をリーディングの授業にしていくことであった。受験指導か受験指導でないか…
思考停止・分析停止・活動停止 高校で受験指導をしなければならないという状況に置かれると、多くの教師は思考がそこで止まるようである。大学入試で何が出るかということを考慮しない分析停止の状況に陥る。そして昔ながらの文法指導をひたすら繰り返し、そ…
英文理解と古文理解における文法の扱いの違い 英文理解における文法の扱いについては、「受験英語」が一定の貢献を果たしていると言って良い*1。だが、古文理解においてはどうであろうか。阪倉(1963:11)が「もともと文法なるものは、決して解釈のために整理…
知識先渡しの破綻 結論から先に言うと、この試みはうまくいかなかった。生徒の知識依存を是正することができなかった。むしろ言語知識が目の前にリストアップされることによって生徒は安心して、そこから先の学習活動に向かわなくなってしまうのだ。たとえ一…
高校授業と公務員講座 平日午前を中心に高校で授業をして、平日夕方や週末を中心に公務員講座の講義をやっていると、いろいろなことに気付く。そのなかでも一番決定的なのは、目標とする試験は違うものの扱っている内容に大差がないという事実である。公務員…
パラダイムの転換への苦しみ あるクラスでは、各課の冒頭にパラグラフリーディングのワークシートと語彙語法文法のリストという2つのプリントを把握する。このねらいは、リストを見たり辞書を引いても構わないから、とにかく文章をまず読み通してもらうこと…
その1・その2からずいぶん間が空いていますが、この問題を再び取り上げます。 文法の体系性と有用性 「文法のための文法」という言い方がある。松隈(1958)によれば、それは文法をひとつの学問として捉えた体系的知識を指すようである。松隈も認めているよ…
読解力の構成要素と生徒の意識 やはり生徒は、文法や語法の知識をノートにまとめて覚えてテストに備えるという、お手軽な英語学習のパラダイムから脱却できないでいる。知識でノートが埋まると、勉強したという充実感が目で見て分かる。真面目な生徒ほどこれ…
ここに書くのは、こちらからの続きです。 すばらしい出会いの数々 予備校というのはsalad bowlである。いろいろな事情で講師をやっている方がいる。予備校講師になるべくしてなった方もいる。司法試験や公認会計士試験などを目指していて合格するまでの生活…
予備校と学校 今日、予備校のテキストについての質問をしに来た生徒がいた。ちょっと意外な感じがした。私が高校の頃は予備校の講師と比べると、高校の教師は一段下の存在という見方をしていた。だから予備校の授業でやることを高校の教師に聞くなんてことは…
印刷室が使えない日 定期考査に準ずる試験があるということで、印刷室が使えない。するとワークシートも用意できないし、知識先渡しもできないので、黒板をフル活用して、知識問題対策をやった。ここに重点が移るのはリーディング授業としては不本意なのだが…
現実を話す 私は生徒に対して、ウソは言わない。もちろん故意にウソをいう教師はいないだろうが、現実を知らないで結果的にウソを言ってしまうことはあるのではないか。 夏休み明けの最初の授業で、私は生徒たちに「リーディングの授業なんか受けなくても入…
ひどい文章 某社が出している長文問題のテキストに、ひどい文章が載っていた。某大学の入試問題らしいが、学部学科と出題年度が出ていないので、元データを確認することもできなかった。何がひどいかというと、論理が飛躍しまくりなのである。これは、文章の…
「知識先渡し授業」の実際 「知識先渡し授業」とは、ポスト訳読の受験対策で蔓延する文法語法知識の伝達を中心とする授業のあり方を改め、リーディング本来の「読む」という言語活動を授業の中心に据えるためのものである。文法語法、ときには背景知識をも盛…
モチベーション 非常勤先の高校は、夏休みが終わって今日から授業が再開された。生徒は休み明けでモチベーションがイマイチと思いきや、意外に真剣に授業を受けていた。もともと今日は、今後の授業の方針を話し、パラグラフの仕組みについて軽く概説すること…
大分汚職に思う 不正な得点操作で合格した教員を解雇し、逆に操作によって不合格になった者を教員として採用するというのは合理的ではある。しかしそれとは別に、教員採用試験が試験として適切で妥当であるかどうかという問題がある。つまり、「どうもあの先…
教材研究での使用 英語の教師もやってるので、自宅の仕事場にはそれなりに英語の辞書がある。教材研究のときには英和辞典と英英辞典をいくつか併用している。英和辞典のメインは『アドバンストフェイバリット英和辞典』(東京書籍)。これは執筆者の一人とし…
『岩波英和大辞典』 世の中ネットで本を買う時代のようである。都内在住であっても、メトロと都営*1を乗り継ぐ高い運賃を払って神保町に行くより、涼しい部屋でマウスと戯れているほうが快適ではある。しかし、低価格の古書の場合、書き込みや傷みがどの程度…
皆様、いつも拙ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。 こんなブログではございますが、アクセス数が50000件を突破いたしました。 2005年の晩秋に開設いたしまして、英語教育や国語教育、そしてその関連領域をめぐる、覚え書き的な…
構文に対する拒絶 私が現在担当している生徒のなかには、いわゆる構文に対して拒否反応を示す者が少なくないように感じる。ここで言う構文とは、伊藤流、薬袋流、富田流のいずれかか、その亜流にあたる、受験英語の現場から生まれた読解文法のことである。逆…
和訳先渡しに学ぶ 授業時間の大半を和訳に費やしていた状況から脱却するために和訳先渡しという方法が考案された。だとするならば、ポスト訳読として、高校現場で横行している、長文を使った断片的な文法語法説明が中心となっている状況から抜け出し、「読む…
テスト勉強=暗記? やはり、テスト勉強は暗記であり、その暗記による知識量を問うのがテストなのであろうか。確かにそういう科目もあるかもしれない。しかし、リーディングは暗記科目ではない。外国語の文章を読むには一定の言語知識を学ばなければならない…
生徒の感想から 非常勤講師として今の高校の教壇*1に立つようになって1か月ちょっと経過した。私の授業は、生徒にとってはいい意味でやや異質なようである。「予備校の授業みたい」と生徒に言われたことがある。これは予備校の教歴のほうが長いのだから、当…
和訳の配り方 入試問題を収録した副教材を使用した授業で、「和訳先渡し」は可能なのだろうか。予習前提であるならば、それも可能なのかもしれないが、教室で問題を解かせる場合は、和訳の方を読んで設問を解く生徒が出てきそうで怖い。もっとも、「和訳後渡…
単語テストというゲーム 高校の現場でよく行われている単語テストだが、私の勤務校でもご多分に漏れず行われている。しかも、1回100題というボリュームである。授業の冒頭でこれを実施するために、記号で答えるようにし、答え合わせを円滑に行えるようにし…
受験英語のブラックボックス 学校の受験指導で、とにかくたくさんの問題を解かせようという考え方がある。これ自体に間違いはないのだが、ゆっくり丁寧に解いても解けない生徒に量こなせというのは酷ではないか。これなら解法を提示して時間を掛けて習熟させ…
このブログに対してお褒めの言葉を戴くときに、「地に足の着いた」論考であると仰っていただくことがある。これは自分がつねに意識していることでもあるので、ありがたい限りである。 本当に大切なことは抽象化して、理論化して、多くの人たちと共有すべきだ…
生徒のパラダイム 予備校は受験テクニックを教えるところと考えられている。実際にはそれだけではないこともあるが、試験対策である以上、解法を提示することは避けて通ることができない。では、高校でも受験指導として行われる授業はそのようになるのか。答…
検定教科書(英語I・英語II・リーディング)の授業と受験読解対策の授業 高校で読解系の授業というと、英語I・英語II・リーディングの検定教科書を使った授業が一般的であるが、進学希望者が多い高校では受験対策の授業も行われている。これらの授業の役割と…