持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

ぼそぼそ−高校編

カテゴリー休止なう。

この3月で高校の非常勤を辞める。勤務はすでに終了しており、昨日さいたま市内で学校主催の納め会に出席し、先生方へのご挨拶も済ませてきた。一昨年の6月からというイレギュラーな勤務開始であったが、最後は「普通に」終えることができた。 受験対策に特…

うそっぽい学力

テストが大事? 「テストに出ますか?」と生徒に聞かれたら、「知るかボケ!」と返したいのが本音である。テストがそんなに大事なのだろうか。もともと勉強する気がないなら高校なんか来なければいいのにと思う。定期試験というのは普通に授業を受けていれば…

例文暗記

死んだ知識と生きる知識 例文暗記は高校でも小テストネタとして行われることが多い。だが、その多くの場合、丸暗記に陥っていることが多い。丸暗記では応用が利かない。見たことある文では暗記した知識が有効に作用するのかもしれないが、見たことない文であ…

問題演習と解法

解法を教えるか否か 入試問題を教材として授業を行う場合、問題形式に対する解法を教師が示すのは当然である。解法も教えずに答え合わせだけを行い、ひたすら演習量を積み重ねていくやり方が一番問題だと思う。また、入試問題を素材とする教材で授業を行うな…

受験対策に問題演習の愚

受験英語にもクラッシェンの波 以前にも書いたが、受験英語もナチュラルメソッドの時代なのだ。入試問題が解けるようになるには入試問題をたくさん解けばよいというのだ。このため、入試問題の演習開始時期が繰り上げられ、高校低学年のうちから問題演習づけ…

逆向き受験英語

授業は答え合わせ 文法の授業というのは、答え合わせなのだ。あとは参照用に持たせている総合英語の参考書で各自確認すればよいのだ。・・・ということになっているらしい。こんなことをわざわざ「ライティング」の授業時間を使って行う必要があるのか疑問で…

これでいいのか受験指導

大学の授業について行けない優等生 数年前、大学の後輩でゼミの発表がうまくできないと悩む学生がいた。話を聞いていると、高校時代は成績優秀であったらしい。教師が示すものを何の疑いもなくただ覚える。その繰り返しで定期試験をクリアし、評定平均を積み…

まさかと思うが・・・

ライティンG 文法の授業のことである。必ずしも文法力の高いクラスではないのに、異様に進度の速いクラスというのがある。私が教育実習をしたときに3年理数科の文法の授業を見せていただいたことがある。板書はなく、閉め初された生徒が淡々と答えを言って…

辞書よりも頭を使え!

「知識の獲得」と「知識の運用」 第2言語習得研究の世界ではskillだが、受験英語の世界では「知識」のほうがしっくり来ると思われる。テキストの予習のつもりで、辞書を引きながら必死になって発音問題を解いている生徒がいる。彼らはいつになったら辞書引…

新年度スタート

今年も週15コマ 非常勤先の高校の新年度の授業が始まった。私が今年度担当するのは、2年の「ライティング」3単位×1クラス、3年の「リーディング」5単位×1クラス、「ライティング」3単位×1クラス「英語演習」4単位×1クラスの15コマである。コマ…

なぜ頭を使わないのか。

「できる子」と「できない子」 わざわざカギ括弧を付けているということは、必ずしも本来の意味合いでこれらの表現を使っているわけではないということである。 英語Iや英語IIが「できる子」というのは、教科書の全訳を予習で試み、授業では訳せなかった…

「普通の訳読の授業」が持つ不思議な力

「英語I」や「英語II」は受験対策上、リーディングに特化する傾向がある。学習指導要領の改訂案はおそらくこの傾向を打破したいのであろう。しかし、二兎を追う者は一兎をも得ず。いわんや四兎をや、である。限られた授業時間のなかで4技能すべてが中途…

英語I

実は、退職することになった同僚の代講として、今週から1年生の授業を担当することになった。久しぶりの検定教科書を使った授業である。教科書に目を通しながら、あまり深入りしないでさらっと流そうと思っていたのだが、この時期に「英語を読む」という意…

リーダーの終焉か?

「英語の授業は英語で」の陰で・・・ 新学習指導要領案が発表された。英語の授業は英語で、というところにマスメディアは注目しているようだ。だか、これと同じくらいに重要な改訂ポイントがあるのに、あまり取り上げられていない。それは「読み」を扱う独立…

半年を振り返って

「文章付きグラマー」からの脱却の苦悩 年度途中から高校の非常勤講師を務める機会を得て半年が経ち、3年生の授業が無事終了した。この半年で一番苦労したのは、リーディングの授業をリーディングの授業にしていくことであった。受験指導か受験指導でないか…

偽装受験英語

思考停止・分析停止・活動停止 高校で受験指導をしなければならないという状況に置かれると、多くの教師は思考がそこで止まるようである。大学入試で何が出るかということを考慮しない分析停止の状況に陥る。そして昔ながらの文法指導をひたすら繰り返し、そ…

卒業試験へ向けて

知識先渡しの破綻 結論から先に言うと、この試みはうまくいかなかった。生徒の知識依存を是正することができなかった。むしろ言語知識が目の前にリストアップされることによって生徒は安心して、そこから先の学習活動に向かわなくなってしまうのだ。たとえ一…

入口と出口

高校授業と公務員講座 平日午前を中心に高校で授業をして、平日夕方や週末を中心に公務員講座の講義をやっていると、いろいろなことに気付く。そのなかでも一番決定的なのは、目標とする試験は違うものの扱っている内容に大差がないという事実である。公務員…

知識先渡しの現状

パラダイムの転換への苦しみ あるクラスでは、各課の冒頭にパラグラフリーディングのワークシートと語彙語法文法のリストという2つのプリントを把握する。このねらいは、リストを見たり辞書を引いても構わないから、とにかく文章をまず読み通してもらうこと…

見えないものを目指すということ

読解力の構成要素と生徒の意識 やはり生徒は、文法や語法の知識をノートにまとめて覚えてテストに備えるという、お手軽な英語学習のパラダイムから脱却できないでいる。知識でノートが埋まると、勉強したという充実感が目で見て分かる。真面目な生徒ほどこれ…

時代の流れなのか・・・

予備校と学校 今日、予備校のテキストについての質問をしに来た生徒がいた。ちょっと意外な感じがした。私が高校の頃は予備校の講師と比べると、高校の教師は一段下の存在という見方をしていた。だから予備校の授業でやることを高校の教師に聞くなんてことは…

独り言(その2)

印刷室が使えない日 定期考査に準ずる試験があるということで、印刷室が使えない。するとワークシートも用意できないし、知識先渡しもできないので、黒板をフル活用して、知識問題対策をやった。ここに重点が移るのはリーディング授業としては不本意なのだが…

裏事情

現実を話す 私は生徒に対して、ウソは言わない。もちろん故意にウソをいう教師はいないだろうが、現実を知らないで結果的にウソを言ってしまうことはあるのではないか。 夏休み明けの最初の授業で、私は生徒たちに「リーディングの授業なんか受けなくても入…

独り言

ひどい文章 某社が出している長文問題のテキストに、ひどい文章が載っていた。某大学の入試問題らしいが、学部学科と出題年度が出ていないので、元データを確認することもできなかった。何がひどいかというと、論理が飛躍しまくりなのである。これは、文章の…

「知識先渡し授業」の実際など

「知識先渡し授業」の実際 「知識先渡し授業」とは、ポスト訳読の受験対策で蔓延する文法語法知識の伝達を中心とする授業のあり方を改め、リーディング本来の「読む」という言語活動を授業の中心に据えるためのものである。文法語法、ときには背景知識をも盛…

授業再開

モチベーション 非常勤先の高校は、夏休みが終わって今日から授業が再開された。生徒は休み明けでモチベーションがイマイチと思いきや、意外に真剣に授業を受けていた。もともと今日は、今後の授業の方針を話し、パラグラフの仕組みについて軽く概説すること…

体系と雰囲気

構文に対する拒絶 私が現在担当している生徒のなかには、いわゆる構文に対して拒否反応を示す者が少なくないように感じる。ここで言う構文とは、伊藤流、薬袋流、富田流のいずれかか、その亜流にあたる、受験英語の現場から生まれた読解文法のことである。逆…

知識先渡し授業の試み

和訳先渡しに学ぶ 授業時間の大半を和訳に費やしていた状況から脱却するために和訳先渡しという方法が考案された。だとするならば、ポスト訳読として、高校現場で横行している、長文を使った断片的な文法語法説明が中心となっている状況から抜け出し、「読む…

リーディングのテストにおける知識問題

テスト勉強=暗記? やはり、テスト勉強は暗記であり、その暗記による知識量を問うのがテストなのであろうか。確かにそういう科目もあるかもしれない。しかし、リーディングは暗記科目ではない。外国語の文章を読むには一定の言語知識を学ばなければならない…

「異質な授業」

生徒の感想から 非常勤講師として今の高校の教壇*1に立つようになって1か月ちょっと経過した。私の授業は、生徒にとってはいい意味でやや異質なようである。「予備校の授業みたい」と生徒に言われたことがある。これは予備校の教歴のほうが長いのだから、当…