持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

時代の流れなのか・・・

予備校と学校

今日、予備校のテキストについての質問をしに来た生徒がいた。ちょっと意外な感じがした。私が高校の頃は予備校の講師と比べると、高校の教師は一段下の存在という見方をしていた。だから予備校の授業でやることを高校の教師に聞くなんてことはもってのほかだという認識だった。これは時代の変化なのか、それとも公立と私立の違いなのか、あるいは私が予備校講師の経験があることを知っていただけなのか。気になるところではある。

文構造解析の手法に違和感

その生徒の質問というのは、予備校のテキストの英文がうまく文法構造が捉えられないから見て欲しいというものだった。そこでその生徒が使っていたマーキングの方法に、私は違和感を覚えた。自動詞と他動詞の区別や不定詞の用法識別に妙にこだわっているのだ。私に言わせれば、英文理解のために必要な文法をform、meaning、useの観点から体系化したものが使いこなせればいいのだ。このあたりのバランスを欠いた「受験用の文法」が幅を利かせているようだ。
おそらくは、学校で文法の比重が低下したことに対する反動なのであろう。しかし、学校は文法の軽量化の方法を、そして予備校は精緻化の方向性を誤っているような気がする。どう誤ってしまったのかは、このブログの理論系エントリーで扱っているので、ここでは触れない。ネット上で頻繁にブログを更新なさっているような先生方の存在になれてしまうと、優れた教師が世の中に多くいるような錯覚に陥るが、足下に目をやると、そうでもないのが学校や予備校の現場なのだと、改めて気付くのだ。