持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

学習経験と雑感

いまどきのリスニング 昨年の暮れのことだが、現在NHK教育テレビで「新感覚☆キーワードで英会話」の講師を務める河原清志先生が、『「シャドーイング」と「サイトラ」で鍛えるVOAスタンダード』(稲生衣代・河原清志著、コスモピア)を送ってくださっ…

スッキリしたい受験英語、さっぱりしたい受験英語

スッキリしたい受験英語 受験英語の学習は、他科目の学習と平行して進めていくことが多い。理系の科目はもちろん、文系の地歴・公民科の科目も含めて知識科目については、体系的にリクツでスッキリと理解できることが多い。しかし、英語や国語はその点どうも…

情報処理単位としての読解文法④

統語ストラテジーと意味ストラテジー テクスト・談話レベルではない、文レベルの読解ストラテジーには、語彙的なものと文法的なモノがあり、文法的なものにはさらに、統語ストラテジーと意味ストラテジーがある(天満1989)。このうち、統語ストラテジーには…

情報処理単位としての読解文法③

動詞の重要性 読解文法の導入あたっては、薬袋(1995)のように主語よりも述語動詞の認識を優先させているものもある。形式的な観点から言えば、薬袋の主張の通りで、述語動詞(定形動詞)と準動詞(非定形動詞)を識別することは確かに重要である。意味論的観…

情報処理単位としての読解文法②

英文の基本構造の導入 英語の文を基本構造から導入する場合、文が主部と述部から成り立つ、というところから導入されることが多い。しかし、この文法用語がその後使用されることがほとんどない。主部と述部で文を2分する場合、主部の中核を成す語を主語、述…

情報処理単位としての読解文法①

初学者へのボトムアップ・シラバス 英語と語順を異にする日本語を母語とする学習者が新たに英語のリーディングを学んでいく場合、まずは英語と日本語の語順の違いから学んでいくべきである*1。この場合、従来は英語の構文を学ぶことに終始することが多かった…

階層意味論と情報処理単位

階層意味論の考え方 階層意味論(Hierarchial Semantics)とは、中右(1994)が提唱した理論であり、当時の統語理論では説明しにくかった文法現象を説明可能にするために当時主流であった統語論の修正・精緻化という方法に代えて構築したものである。 階層意味…

直読直解の単位

直読直解とは何か 「直読直解」という用語には2つの意味がある。1つは英文を語順通りに読んで理解することで、漢文訓読的な返り読みと対立する概念である(寺島2002)。もう1つは、外国語で書かれた文を母語を介さずに理解する、つまり英語を英語で理解す…

キャッチフレーズ式の英語教育?

なんだか分からないうちに・・・ 文法偏重じゃない、訳読中心じゃない、今風で、おしゃれで、トレンディーな英語教育には、キャッチフレーズがつきまとうことが多い。 キャッチ-フレーズ [5] [catchphrase]宣伝・広告などで,人の心をとらえるように工夫さ…

単語学習を考える

語彙能力とその習得 外国語学習において、語彙の学習が占める比重は決して小さくない。しかし世間で詰め込み学習の象徴のように言われる受験英語においても、単語学習に関して大きく扱われる機会は少ない。文法と比べればその差は歴然としている。これは教室…