言語教師・持田哲郎のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その22)

述語動詞の形 一通り文型を扱った後は、述語動詞の形へと移っていく。開講当初のSession1で「基本4品詞」を導入した際に、動詞を意味の面から「状態・変化・行為を表す」とは定義している。しかし、英語の動詞にどのような変化形があって、それぞれの変化形…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その21)

動詞イディオム 動詞の型を扱ううえで動詞イディオムをどのように扱うかは、学習者の状況によって違ってくる。最近の主流は動詞と前置詞や小辞のそれぞれの中核的意味の組み合わせからイディオムの意味を捉えようとするものである*1。しかし、実態はそう簡単…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その20)

天候や時を表す文 itがthisやthatと異なるものであることを確認してようやく天候を表す文の導入に移っていく。日本語には「…になる」という形で天候を表す言い方がある。これは季節の移り変わりにも使える表現である。 春になった。 Spring has come. 嵐にな…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その19)

天候や時を表す文 天候や時を表す文は、文型で言えば、多くの場合、S+VかS+V+Cになる。しかしだからといって、取り立てて扱わなくてよいということにはならない。まず、itに対応する日本語が多くの生徒にとって明確ではない。生徒の中には「this=これ、t…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その18)

There is/are . . . で始まる文 このクラスではすでに日本語の「は」の働きを導入済みである。S+V+O+Cも導入済みである。この2項目を生徒が理解していることが、There is/are . . .を導入する前提であると考える。まず、次の2つの日本語の文の違いを生徒…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その17)

S+V+O+C この文型は難しい。次の指摘も参照されたい。 第5文型はもっとも理解しにくい構文である。単純な形の文でも、目的語の次に来る補語が名詞であったり、形容詞であったりするからである。そこで、目的語の次に来る補語と目的語との関係を理解させる…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その16)

「あげる」という意味の動詞のパターン ここからSession3に入る。まずはS+V+O+Oを扱うが、このパターンの提示も「第4文型」という用語の紹介もしていない。パターンの提示は後でおこなう。なぜか。動詞の意味によってはS+V+Oでは情報的に完結しない、も…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その15)

教材構成とブログ記事の対応 Stage 1:中学英語の復習(語順と語形を中心に) Session 1:基本文構造[その1~その7] Session 2:動詞の型1[その8~](←イマココ) Session 3:動詞の型2 Session 4:述語動詞の形(←1/24現在の授業進度) Session 5:疑問…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その14)

have:「SにOがある」 日本語の「は」の働きを確認した後に、英語の動詞haveに触れておく必要があると考えている。haveは日本語の「持っている」に対応づけられることが多いが、実際は「持っている」よりも幅広い意味を持つ語である。 haveの基本概念は"to b…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その13)

日本語の文の主題:「は」について 英文法を扱う授業で日本語の文法の話にあまりに多くの時間を割くことは現実的ではない。しかしながら、日本語を母語とする英語学習者にとって必要なことであれば、それを提示することが必要である。こうした条件にあてはま…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その12)

「好き嫌い」などを表す形容動詞 日本語の形容動詞文には、好き嫌いや必要・不必要を表すものがある。これらの形容動詞文は感情を表す形容詞文と同様に、英語では他動詞文に対応する*1。 I like coffee. (私は)コーヒーが好きだ。 I hate cats. (私は)ネ…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その11)

感情の表現 S+V+Cという文型を日本語の形容詞文(形容動詞文)や名詞文との対比で導入することは前回および前々回の記事で述べた。しかしながら、日本語の形容詞文・形容動詞文のすべてが英語のS+V+Cに対応するわけではない。この「例外」とも言える表現…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その10)

S+V+Cの導入(続き) 指定副教材の『短文で覚える英単語1900』と『コーパス口頭英作文』では、収録されているS+V+Cの例文の大半はBEを用いたものである。このため、日本語の形容詞文(形容動詞文)や名詞文から導入して、日英語の比較対照の中で英語にお…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その9)

S+V+Cの導入 英語の基本文構造を、最も頻度の高い文型であるS+V+Oで導入し、その後S+V+O+Aへと拡張し、次いでS+VとS+V+Aを導入した。そしてここへ来てようやくS+V+Cの導入となる。中学校の教科書であれば多くの場合真っ先に導入する文型であるS…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その8)

S+Vの導入 S+V+OおよびS+V+O+Aの後に導入する文型は、S+Vである。名詞(句)+動詞+名詞(句)すなわちS+V+Oが英語で最も基本的で一般的な文型であることをまず伝え、S+V+O+AではS+V+Oでは言い足りなさが残り、副詞句(主に「前置詞+名詞」…

2019年センター試験・第3問Aを読む(問1を例に)

問1 When flying across the United States, you may see giant arrows made of concrete on the ground. 文章の冒頭が疑問文になっていて、書き手が読み手に対して問題提起を行うことがある。Whenで始まる文では、Whenの直後が倒置になっていないかを確認し…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その7)

語順と語形(続き) 前回までは動詞を修飾する語句について述べていた。「前置詞+名詞」が動詞を修飾する場合を分類すると、様態、場所、時、頻度以外のものも当然存在する。これらの語句も分類が可能であるが、『短文で覚える英単語1900』に収録されている…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その6)

語順と語形(続き) 英語の副詞、とりわけ様態を表す副詞の扱いには、注意が必要である。ここには英語と日本語で品詞のズレが存在する。 日本語の場合、形容詞または形容動詞の連用形というものがあって、それが英語の副詞と同じ働きをしているので、なおさ…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その5)

語順と語形(続き) 副詞の扱いを巡る議論については前回触れた。今回は基本文構造を導入する段階では副詞の機能を定義することを避けた。品詞は8品詞のうち、動詞、名詞、形容詞、副詞を「基本4品詞」とし、これら4品詞の導入にあたっては意味による定義を…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その4)

語順と語形(続き) 「名詞+動詞+名詞」という基本文構造を導入し、動詞との位置関係で主語と目的語を規定し、文の中枢をになう動詞を述語動詞と定義して現在形か過去形を使うとした。そして人称代名詞を導入し、主語と目的語の名詞を「冠詞(の仲間)+形…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その3)

語順と語形(続き) 英語の最重要文型として「名詞+動詞+名詞」というパターンを提示し、動詞の左側の名詞を主語、右側の名詞を目的語とそれぞれ規定した。文の要となる動詞は「述語動詞」というもので、現在形か過去形を使うことにも触れた。さらに名詞句…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その2)

語順と語形 教育文法は学習者がことばを使いこなすために学ぶ文法であり、そのために教師が教える文法である。この辺りの詳細は『駿台教育フォーラム』に掲載された拙稿*1で言及している。Larsen-Freeman*2は教育文法にはFORM、MEANING、USEのThree Dimensio…

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その1)

講座のコンセプト 千葉市美浜区、幕張ベイタウンにある学習塾、「Sアカデミー」の組田幸一郎代表からこの講座を担当して欲しいとのお話をいただいたのが昨年の春のこと。講座の趣旨は、高校2年生が秋から勉強を始めてGMARCHレベルの大学に合格できる力をつけ…

はてなダイアリーからはてなブログへ

ご無沙汰しております。言語教師の持田です。このたび、はてなダイアリーからはてなブログへ移行しました。前回の更新から1年以上経っておりますが、今後は少し更新頻度を上げていければと考えております。ブロギングポリシーはこれまで同様としますが、Face…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その13)

Chapter 2 動詞と文型(その9) 7ではS+V+O+Cを扱っている。7.1.ではこの文型の成り立ちを示している。ここで文を〈情報〉ではなく〈出来事〉として埋め込む場合と述べているが、これはp.108のthat節のところで詳述している。中村(2009: 63)は、seeやhe…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その12)

Chapter 2 動詞と文型(その8) 6.4.に「伝える」という意味の動詞という項目を立てた。これは前回の枠組みで言うと「あげる」の動詞群の下位類となる。この動詞群を独立した項目としたのは、これらの動詞がthat節をとることができるためである。阿部・持田…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その11)

Chapter 2 動詞と文型(その7) 6の「S+V+O+O」ではまず、「あげる」と「してあげる」という2つのグループに動詞を分類している。中村(2003)は、I'll buy you this shirt.という文に「私がおまえにこのシャツを買うだろう」という直訳を与え、この直訳自…

明海大学複言語複文化教育センター主催シンポジウム講演資料

ご無沙汰しております。 以前告知しておりました明海大学複言語複文化教育センター主催シンポジウム「英語教育と国語教育の連携を巡って」が延期を経て2016年6月11日に開催されました。持田が当日使用したスライド及び当日配布した資料を公開いたします。当…

シンポジウム「英語教育と国語教育の連携を巡って」

2月27日に明海大学新浦安キャンパスで開かれるシンポジウムにシンポジストとして登壇することになりました。日頃持田が授業でやっていることの一端をご紹介しながらの話題提供になるかと思います。東京駅*1から十数分の新浦安です。観覧車が見えてシンデレラ…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その10)

Chapter 2 動詞と文型(その6) 5.の「S+V+C」については事実だけを示し、立ち入った解説をしていない。この文型は阿部・持田(2005)にも項目を立てていない。解説をつけていないのはもっぱら紙幅の制約によるものであるが、中途半端は許されないのでそれ…