持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2015-01-01から1年間の記事一覧

facebookページ10月3日付更新のための学習書

たのしい英文法 改訂版作者: 林野滋樹+改訂版編集委員会〈改訂版編集委員〉代表 奥西正史委員 瀧口 優 柳沢民雄〈改訂版編集協力〉吉浦潤次 山口良子 竹内一浩 保坂芳男出版社/メーカー: 三友社出版発売日: 2011/11/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入:…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その9)

Chapter 2 動詞と文型(その5) 4.2.〜4.6.はS+V+O+Aの文型を扱っている。これらは阿部・持田(2005)でも取り上げている。文型に番号を振れば「5文型」の枠組みか「7文型」の枠組みかというところで悩むのであるが、本書では文型に番号を振っていないので…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その8)

Chapter 2 動詞と文型(その4) 4.S+V+Oという項では、まず4.1.で「英語の文の最重要パターン」としてこの文型を取り上げている。ここで「目的語」という文法用語の定義を行っているが、この定義は動詞との位置関係によって規定している。つまり、「〜を…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その7)

Chapter 2 動詞と文型(その3) p.15の3.にある「There is/are・・・で始まる文」ではまず、〈存在〉を表す文の3つのパターンを取り上げている。現在執筆準備中の学習書にはhaveも取り上げる予定だが、本書ではここでbeを使った文のみを取り上げている。実…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その6)

Chapter 2 動詞と文型(その2) 本書の文型論は、S+V、S+V+X、S+V+X+Xという3文型を出発点とし、動詞に後続するXにどのような品詞が続くかによって従来の5文型の枠組みで扱われている諸文型をネットワーク化したものである。そのうえで、文型は主に動…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その5)

Chapter 2 動詞と文型(その1) 阿部・持田(2005)では大学教科書という性質上、文型を網羅的に扱うのではなく、学習が比較的困難と思われるところを重点的に扱った。しかし、文型を学習する過程における困難は学習者によってさまざまであり、また今回は高校…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その4)

Chapter 1 英文の基本構造(その3) 3.2.の副詞のところのベースは1990年代後半の中学英語教科書、とりわけ中3教科書の巻末の基本文リストにある。つかみどころのない印象のある副詞を、中学レベルで触れる英語から典型的なものを押さえておこうと考えた。1…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その3)

Chapter 1 英文の基本構造(その2) 3.1.「名詞のまとまりの展開」では冒頭に人称代名詞の表を示してある。この表は一般的な「I−my−me−mine」という配列にはなっていない。1990年代に『英語教育』で連載されていた「英語のカリキュラム」(通称「若林・手島…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その2)

Chapter 1 英文の基本構造(その1) 1.1.の「主語と述語」と1.2.「述語の仕組み」のところは、一般的な英語総合の参考書などと比べて記述内容に大きな違いはない。「述語の仕組み」のところでは、「英語の述語には動詞が必要です」(p.6)とあっさりと言い…

『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その1)

Introduction 英語の構造規則と英文理解への応用 本書は一般的な大学受験向け学習参考書と同様に、明示的な文法学習を支援する立場をとる。そしてそこで扱う文法知識は、Larsen-Freeman(1991)のいうFORM/MEANING/USEの3つの次元から捉えるように努めている。…

『良問でわかる高校英語』と『実践コミュニケーション英文法』

2冊を組み合わせて活用することについて 拙著『良問でわかる高校英語』は高校生向けの参考書であり、阿部一先生との共著である『実践コミュニケーション英文法』は大学教科書です。位置づけとしては両者は異なりますが、2冊を組み合わせて授業等で活用するこ…

拙著のご案内

『良問でわかる高校英語』 良問でわかる高校英語: 効率よく得点アップできる厳選問題コレクション作者: 持田哲郎出版社/メーカー: 学研教育出版発売日: 2015/08/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る書名にある「高校英語」とは「主に高校生…

facebookページ2月5日付更新のための文法書ガイド

ご案内 私のfacebookページ「言語教育・持田哲郎(家庭教師・授業・講演・教材執筆)」で触れた、英文和訳・和文英訳のエクササイズのための例文集として、現時点でお勧めのものをここに挙げておきます。英作文基本300選―英語的発想の日本語をヒントにして覚…

facebookページ2月3日付更新のための文法書ガイド

ご案内 私のfacebookページ「言語教育・持田哲郎(家庭教師・授業・講演・教材執筆)」で触れた、ESLの英文法学習書として、現時点でお勧めのものをここに挙げておきます。English Grammar in Use with Answers and CD-ROM: A Self-Study Reference and Prac…

facebookページ1月31日付更新のための文法書ガイド

ご案内 私のfacebookページ「言語教育・持田哲郎(家庭教師・授業・講演・教材執筆)」で触れた、英文法書を読み込む学習のための、現時点でお勧めの組み合わせをここに挙げておきます。完全マスター英文法作者: 米原幸大出版社/メーカー: 語研発売日: 2009/…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その5)

実例の検討 まずは川端康成の『雪国』の冒頭を引用する。 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 伊藤(1999)が言うように、この文を読んで意味不明と感じる日本語母語話者は皆無であろう。しかし、この表現を英語のように分析的に捉え直そうとすると、…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その4)

言語文化と文構造(続き) すでに述べた通り、事態を起因に拘って因果律に分析する英語は、事態把握の仕方がSVOという形式に反映されている。英語は水谷(1985)が言うように「事実指向型」の言語であるが、事態がひとたび言語化されると、今度は統語的整合性…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その3)

言語文化と文構造 デジタル型の言語技術が尊重される低コンテクスト文化で用いられる英語と、相手の考え・感情を尊重する高コンテクスト文化で用いられる日本語とでは、文の構造にも違いが見られる。これは単にSVO型かSOV型かという語順の違いに留まらない。…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その2)

言語と思考 日本語と英語の違いを考えるにあたって、言語と思考の関係から切り込んでみることにしたい。まずは古典的だが中島(1949)を引用する。 言語は思考の必然的な流出ではなく、思想の伝達手段として、それも多かれ少なかれ不完全な手段として発達した…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その1)

訳読を見直す まず、訳読の定義としては、「英語の文章を読み、それもかなり難しい文章を読んで、日本語に訳していく学習方法」(山岡2009b: 3)を採用することにする。山岡の訳読の定義は比較的広い意味を持っており、山岡自身も「訳読とは要するに、学習目…

呟きに登場したブックリスト

ご案内 この何日かの私のtwitter(@ownricefield)での呟きで言及した本を挙げておきます。英作文における日本人的誤り作者: 松井恵美出版社/メーカー: 大修館書店発売日: 1979/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る日本文法 口語篇 (岩波全…