『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その8)
Chapter 2 動詞と文型(その4)
4.S+V+Oという項では、まず4.1.で「英語の文の最重要パターン」としてこの文型を取り上げている。ここで「目的語」という文法用語の定義を行っているが、この定義は動詞との位置関係によって規定している。つまり、「〜を」のように日本語の訳語を介して定義をしていないのである。これは阿部・持田(2005)で示したように英語の目的語に対応する日本語の項に生じる助詞は「を」だけではないからである。
- I bought a book. 私は本を買った。
- He entered a university. 彼は大学に入った。
- She met her boyfriend. 彼女は彼氏と会った。
- I like movies. 私は映画が好きです。
上に挙げた例文は阿部・持田(2005)には示しているが、本書では示していない。これも別冊としての全体のバランスを考慮した結果である。
このS+V+Oを「最重要文型」とした背景としては、まず小寺(1990)が英語で最も頻度の高い文型であると指摘していることがある。もっと古いところでは五島・織田(1977)がこのパターンを英語の文の仕組みの根本であるとしている。この考え方は織田(2007)にも受け継がれている。安藤(2005)はこの文型を「英語の愛用文型」であるという言い方をしている。そしてこの文型を提示することが小寺(1990)の言う「言語的カルチャーショック」を与えることになるという点も考慮した。