持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

受験小論文の担い手

「国語」の領域なのか? 大学入試が多様化するにつれて、「小論文」が受験科目のひとつとして認知されるようになった。大手大学受験予備校では「論文科」を設けていて、国語とは別に扱われるようになっている。だが、一般的には国語、とりわけ現代文の講師が…

古文デビューからまもなく1年

何のために古文を教えるのか 自分の関心が、受験教育から言語技術教育にシフトしているのに、なぜか古文を教えたいという欲求も高まっている。なぜだろうか。おそらく、自分の中に教養教育というか、文学教育みたいなものへの畏敬の念があるからなのかもしれ…

学習文法における文型論(その4)

形式による絞り込み 国文法での、動詞述語文・形容詞述語文・名詞述語文の3文型の問題点は、森(2004)が指摘するように主語を不当に重視している点が1つある。これは見方を変えれば、主語だけ特別視して他の項を軽視しているということである。この述語がと…

学習文法における文型論(その3)

英語の5文型からの考察 学習文法における文型論というと、やはり英語の5文型が思い浮かぶことが多いであろう。日本語と違い、英語の場合は名詞述語や形容詞述語であってもBEが必要であるから、5つの文型の述語はすべて動詞を含む。このため、国文法のよう…

認知言語学と学習英文法(その4)

テンスとアスペクト:意味の語り方 認知言語学は、言語学の中でも意味論の研究において大きく貢献している。そのため、学習文法に援用することによって、従来にはない「意味を教える」ということが可能となった。だが、元来目には見えない意味を学習者に提示…

学習文法における文型論(その2)

主語の扱いと文型 文の構造の観点から文型を考える場合、主語の問題を避けて通ることはできない(森2004)。ここで注意しなければならないのは、日本語の記述文法における主語の扱い方と、学習文法における主語の扱い方は別の問題であるということである。言…

認知言語学と学習英文法(その3)

テンスとアスペクト 動詞がコトを表すとなると、その出来事がいつのことなのかを示さなければならない。これを表す動詞の形がテンスである。英語のテンスには現在と過去の2つがある。認知言語学を援用した文法では「未来時制」は認めないのが普通である。ま…

学習文法における文型論(その1)

文型研究の3つの観点 日本語の文型研究は、次の3つの観点があると言われている。 表現意図による文型 語の用法に関する文型 文の構造に関する文型 松井(1963)は、中学校の学習基本文型として1.の観点から文型を設定していくことを提案している。これは文法…

認知言語学と学習英文法(その2)

コトとモノ、事態と言語 名詞は何らかのモノを指し、動詞は名詞が指すモノを関連づけて、あるコトを表す(田中2008)。認知言語学に基づく文法では、こうした形で文法の基本を説いていることになるであろう。こうした説明の利点は絞り込みにある。従来の学校…

認知言語学と学習英文法(その1)

認知言語学の学習文法に対する貢献 認知言語学が学習文法にもたらした恩恵は、意味を明示的に扱えるようになったことである。従来の学校文法では、雑多な規則の暗記が強いられていた。しかも暗記した知識を実際の言語活動で使用する規準を明確に提供する力が…