学習文法における文型論(その1)
文型研究の3つの観点
日本語の文型研究は、次の3つの観点があると言われている。
- 表現意図による文型
- 語の用法に関する文型
- 文の構造に関する文型
松井(1963)は、中学校の学習基本文型として1.の観点から文型を設定していくことを提案している。これは文法知識と国語の技能との橋渡しをすることを意図したものであり、機能文法や語用論からのアプローチと言える。これはどちらかと言えば、話す、聞くといった口頭での言語活動を念頭に置いたものであると言えよう。
読む、書くという文章による言語活動に片寄りがちになることは、言語教育ではよく見られることである。このため話し言葉を出来る限り取り込んでいこうというのは、外国語教育であれ母国語教育であれ当然の成り行きである。しかし、第一言語の場合、話し言葉についてはある程度自然に身につくものである。それに対して書き言葉は、母語であっても自然な習得に期待するわけにはいかない。国語教育による組織的な学習が必要となる。文章理解や文章表現の観点から文法を見ていく場合、口頭での理解・表現活動の場合よりも、語順など、文の構造に多くの関心を向けていくことになる。このため、文型も文の構造の観点から整理していくことになる。