持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

文型論の変遷①

習得過程・文理解過程に沿うものにするために 英語の文法を明示的に指導する際に避けては通れないのが文型である。従来より文型と言えば5文型が学校文法の定番でり、現在でも広く用いられていると言えよう。本論では5文型の問題点を指摘し、その代案を提案…

「変形」という概念を英文解釈に持ち込んだ本

変形生成文法の「変形」という概念を英文解釈に取り入れた意欲作である。変形規則の元ネタは1950年代から60年代にかけてのものが大半で、それ以降の理論よりも学校文法との相性のよいものである。英文を語順に即して理解していくには変形規則など不要…

生成文法をベースにした一般向け文法書

生成文法の知見を活かした学習文法書はいくつかあるが、本書はその中でも句構造規則の知見を活かしためずらしいもの。扱われている記号に難解さが漂うのは否めない。だが英文法が膨大な暗記知識のリストに成り果ててしまって収拾がつかないとお嘆きの英語教…

文法知識の活かし方を示す本

英文の文法構造を基本4品詞に還元して捉える手法で、従来の英文解釈本と比べて「どのような文法知識をどのように当てはめて英文を理解するか」ということを明確に示していると言える。その反面使われている文法用語がやや難解であることと、英文を順送りで…

受験英語と読解文法

英文解釈参考書と英文読解 学校文法の初歩に単語・熟語の知識を含めた「基礎」から出発して、それに加えて何をしたら英文が読めるようになるかという方法を示すことが英文解釈の参考書の役割であった。これらの参考書は大きく3つに分けられる。 熟語中心の…

いわゆる「特殊構文」

受験英語の象徴的な存在の一つに「特殊構文」がある。no more thanやtoo ... to doなどのパターンを扱うものである。こうした構文の和訳問題や整序問題は今でも一部の塾や予備校で行われているようである。 このような「特殊構文」は入試で出るから仕方なく…

言語権

新憲法草案などというものが動き出している。そろそろ日本でも議論しなければならないのが、公用語の問題である。英語を第2公用語にしようという発言が一時期目立ったが、現状では日本には第一公用語すら規定がない。国語教育で日本語が教えられているのは…

学習文法について

文法ばかり教えている教師は生徒に嫌がられる。なぜか?それは「役に立たない文法」を教えているからだ。文法を教えることに時間をかけすぎること自体、文法をきちんと教えていない証拠なのである。 文法の記述 英語の文法を教える際にはまず、次の3つの視…

日常会話って・・・

英語を勉強し始めると、「日常会話くらいはできるようにならないと・・・」という人が多い。だが外国語として英語を学んでいく上で、日常会話ほど難しいものはない。日本にいても、英語を読んだり書いたりする機会は結構ある。仕事で英語を話す機会も、職種…

変な対立図式

英語学習において、以前から妙な対立図式がある・ 文法かコミュニケーションか 変である。妙である。「文法なんかやらないでコミュニケーションの手段としての英語を」などと言われることが多い。もっともこれは応用言語学や第二言語習得研究の分野では有名…

新しい時代の幕開けなのか。

けさの朝日新聞で池内恵氏による記事を読んだ。記事の内容はテロリズムに関するものであるが、ここではその内容について論じるつもりはない。注目したいのはそのレトリックである。この文章は段落構成が非常にしっかりしていたのだ。欧米の文章に見られる「…

ミッション・ステートメントに代えて・・・

「専門バカ」との決別 授業のことばかり考えている人には授業はできない。 英語だけ勉強しても英語はできるようにならない。 研究のことばかり考えている人には研究はできない。 目的志向 授業には、教師、学習者(児童・生徒・学生)、教材など、さまざまな…