持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

学習文法について

文法ばかり教えている教師は生徒に嫌がられる。なぜか?それは「役に立たない文法」を教えているからだ。文法を教えることに時間をかけすぎること自体、文法をきちんと教えていない証拠なのである。

文法の記述

英語の文法を教える際にはまず、次の3つの視点から文法現象を捉えておく必要ある。

  • 語がどのように配列されると正しい文になるのか?[FORM]
  • その文がどのような意味を表すのか?[MEANING]
  • その文がいかなる場面や文脈で使われるのか?[USE]

こうした知識を明示的に教える際には、できる限り使用する文法用語を少なくように工夫しなければならない。また現実の言語現象に照らし合わせて意味をなさない分類・分析は破棄し、根拠もなく従来の分類・分析を踏襲しないようにしなければならない。

文法の指導

教師がただだらだらと文法について語るだけでは、生徒の文法力は付かない。明示的な文法指導によって文法力を獲得させるには次の3つの段階を経なければならない。

  • 説明によって文法知識を理解する
  • その文法知識を使ってみる
  • 繰り返し使うことによってその文法知識を感じとる

この「わかって、つかって、感じとる」という段階が大事である以上、説明と同じくらいにエクササイズも重要ということになる。このあたりはRutherfordやSharwood Smithの言う「意識化」(consciousness raising)という考え方に基づくものであるが、Ellisの言うfocus on formとはやや違う。意識して感じとるのは形態統語的な知識だけでなく、意味の知識も含まれるからである。

以上、総論のダイジェストのようなものを書いたが、具体的な内容は著書や実際の授業・講義のなかで実現していきたいと考えているので、ここに書き込むことはいまのところ考えていない。あしからずご理解とご了承ねがいたい。