持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

facebookページ1月31日付更新のための文法書ガイド

ご案内 私のfacebookページ「言語教育・持田哲郎(家庭教師・授業・講演・教材執筆)」で触れた、英文法書を読み込む学習のための、現時点でお勧めの組み合わせをここに挙げておきます。完全マスター英文法作者: 米原幸大出版社/メーカー: 語研発売日: 2009/…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その5)

実例の検討 まずは川端康成の『雪国』の冒頭を引用する。 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 伊藤(1999)が言うように、この文を読んで意味不明と感じる日本語母語話者は皆無であろう。しかし、この表現を英語のように分析的に捉え直そうとすると、…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その4)

言語文化と文構造(続き) すでに述べた通り、事態を起因に拘って因果律に分析する英語は、事態把握の仕方がSVOという形式に反映されている。英語は水谷(1985)が言うように「事実指向型」の言語であるが、事態がひとたび言語化されると、今度は統語的整合性…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その3)

言語文化と文構造 デジタル型の言語技術が尊重される低コンテクスト文化で用いられる英語と、相手の考え・感情を尊重する高コンテクスト文化で用いられる日本語とでは、文の構造にも違いが見られる。これは単にSVO型かSOV型かという語順の違いに留まらない。…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その2)

言語と思考 日本語と英語の違いを考えるにあたって、言語と思考の関係から切り込んでみることにしたい。まずは古典的だが中島(1949)を引用する。 言語は思考の必然的な流出ではなく、思想の伝達手段として、それも多かれ少なかれ不完全な手段として発達した…

言語教育におけるtranslationとその周辺(その1)

訳読を見直す まず、訳読の定義としては、「英語の文章を読み、それもかなり難しい文章を読んで、日本語に訳していく学習方法」(山岡2009b: 3)を採用することにする。山岡の訳読の定義は比較的広い意味を持っており、山岡自身も「訳読とは要するに、学習目…

呟きに登場したブックリスト

ご案内 この何日かの私のtwitter(@ownricefield)での呟きで言及した本を挙げておきます。英作文における日本人的誤り作者: 松井恵美出版社/メーカー: 大修館書店発売日: 1979/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る日本文法 口語篇 (岩波全…