持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

入口と出口

高校授業と公務員講座

平日午前を中心に高校で授業をして、平日夕方や週末を中心に公務員講座の講義をやっていると、いろいろなことに気付く。そのなかでも一番決定的なのは、目標とする試験は違うものの扱っている内容に大差がないという事実である。公務員試験の文章理解という科目は、最難関とされる国家公務員I種であっても、高校の国語IIと英語IIの教科書が理解できればさほど対策に困るものではない*1。しかし、大学の学内講座として公務員試験対策の講座を開く場合、教養試験対策のみを開講することが多いのが現実である。
なぜ教養試験対策なのか?高校で教えているとその答えは明確である。高校レベルの学力がないまま卒業し進学してしまう生徒が大半だからである。リーディングの授業をやっていても、すでに進学先を決めている生徒が英文がまともに読めないなんていうことはざらである。生徒の方も進路が決まってしまうとモチベーションが下がるのさが、それ以上にリーディングで読む授業をしていない、ライティングで書く授業をしていないということが問題なのではないか。そういう授業でないから、読めなくても書けなくても、そこそこの評定平均が確保でき、推薦入試に出願できてしまうのだ。生徒たちには大学が決まって卒業ができても、大学を4年で出て簡単に修飾できると思ったら大間違いだと言い聞かせているのだが、進学校の現場に大学卒業後の進路まで考えて指導している教師が少ないのもまた現実なのである。

*1:学校国語と受験国語とを意図的に別物であるように見せかける動きが1990年代頃から見受けられるが、公務員試験においてはそこまでの乖離があるとは思わないし、大学受験の国語もそこまで業界が煽るほどのものでもないと思う。