持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

卒業試験へ向けて

知識先渡しの破綻

結論から先に言うと、この試みはうまくいかなかった。生徒の知識依存を是正することができなかった。むしろ言語知識が目の前にリストアップされることによって生徒は安心して、そこから先の学習活動に向かわなくなってしまうのだ。たとえ一般入試であっても読解力を問う設問が解けなくても大学に入れる時代なのだから、仕方がないのかもしれない。

仕事のできる人、できない人

学校には、どうして専任教諭に採用されたのか分からない人がいる。これは教育上、生徒にとって好ましくない。能力がなくても就職できるということを示した「生きた手本」が目の前にいたら、モチベーションが下がりまくってしまう。デタラメな授業計画書を出したり、打ち合わせをした内容を覚えていなかったりと困ったことの連続なのだ。そしてこういう仕事ぶりを頭ごなしに叱責する講師がいる。私立の学校では、「講師=教師見習い」という図式は崩壊しつつある。ただ、こうした時代の変化に気付いていない私学教員もいるのもまた事実である。

卒業試験

非常勤先の高校は2学期制のため、3年生は今月の試験が最後になる。今回の試験のうち、あるコースの「リーディング」の試験問題を作成することになった。試験範囲を確認し、実施1週間前に試作版をコース担当の他の先生方に見ていただいた。問題、解答用紙、正解、それに採点用資料を添付して配った。すると、先生方の態度が変わった。仕事のできない専任も、他人の仕事を非難する講師も、徹底したモニターをしてくれた。この講師は、リーディングのテストに相応しい問題だと評価してくださった。この2人のほかにもうひとりベテランの教諭がいるのだが、この方はどうも私のテスト問題には必ずしも好意的ではない模様。それでも仕事の労そのものに対してはねぎらいの言葉をかけてくれた。大人の対応である。私自身、保守的な教師からは相当な反発が来ることも予想していたから、その予想と比べれば、皆落ち着いた評価をしてくれたと思う。