持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

問題演習と解法

解法を教えるか否か

入試問題を教材として授業を行う場合、問題形式に対する解法を教師が示すのは当然である。解法も教えずに答え合わせだけを行い、ひたすら演習量を積み重ねていくやり方が一番問題だと思う。また、入試問題を素材とする教材で授業を行うならば、その教材だけでなく、生徒が受験しそうな大学だけでもいいから、少なくとも過去10年くらいの出題傾向を把握していくことが必要である。出もしないものを出ると言い、現実の入試英語から乖離した「受験英語」を創出し、それが学校英語と著しく異なるものだと自己暗示をかけ、教科書から離れて演習中心の授業にたどり着くという悪循環があるように思える。予備校講師が演習べったりでなくても受験学力を伸ばす授業ができるのは、過去問研究に裏打ちされた「余裕」があるからである。余裕のない高校教師は入試問題には入試問題をという短絡的思考に陥るのだ。

3年からで十分

入試問題を教材とするのは、高校3年になってからで十分である。そこで初めて解法を扱えばよいと思う。それまでは普通に読み書きを身につけさせるような授業をやればいい。高校の授業であれば「英語I・II」や「ライティング」の教科書を軸とした授業で十分である。そこで、読み方、書き方、そしてそれらを支える言語知識といったことがしっかりと身につくようにすればよい。そうした「基礎」が高3の時点で身についていないのは、そうした配慮を欠いた授業が行われているからではないだろうか。生徒の努力不足を指摘するのはたやすいが、私立高校を中心に行われている演習至上主義が、多くの生徒の認知様式になじまないのはおそらく事実であると思う。