リーダーの終焉か?
「英語の授業は英語で」の陰で・・・
新学習指導要領案が発表された。英語の授業は英語で、というところにマスメディアは注目しているようだ。だか、これと同じくらいに重要な改訂ポイントがあるのに、あまり取り上げられていない。それは「読み」を扱う独立科目の廃止である。講読だとか、IIBだとか、リーディングだとか、名前を変えながら存続してきた読み科目が、新しい案には盛り込まれていないのだ。
英語Iや英語IIが実態として何を扱う授業なのかはっきりしない状況になっているのは確かで、今回はそれをコミュニケーションの名の下に改訂している。だが、「コミュニケーション=英会話」という認識を持ち続けている教師がいるという状況を考えれば、「読み」の削減率はさらに大きいものにも感じられる。「受信型」か「発信型」かの二者択一を求められて「発信型」を選んだらこうなったという感じの科目構成になっている。
コミュニケーションは多チャンネルで双方向的なのだが・・・
そもそも文科省がコミュニケーションが双方向的であることをよく分かっていない気がする。パブリックコメント募集というが、そこで集められた意見がどのように扱われ、その後の修正に反映されるかが明らかでない。行政と国民・住民との間の合意形成には、public understanding→public involvement→public consensusのプロセスを経る必要があるのに、そういう考えが微塵も感じられない。「発信型=言いっぱなし」がコミュニケーションならば、学校の屋上で何かを叫ばせる指導や、裏サイトに何かを書き込ませる指導でもいいのかということにもなりかねない。文科省のやってることはこれと同レベルなのではないか。