持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

独り言

ひどい文章

某社が出している長文問題のテキストに、ひどい文章が載っていた。某大学の入試問題らしいが、学部学科と出題年度が出ていないので、元データを確認することもできなかった。何がひどいかというと、論理が飛躍しまくりなのである。これは、文章の著者がそういうひどい文章を書いている場合、入試に出題者がひどい文章に書き換えた場合、テキスト制作者がひどい文章に書き換えた場合の3つの可能性が考えられる。問題は、私のクラスよりも進度が速いクラスで扱っても問題が生じている気配がないことである。実際のところ、教材選定の段階で1篇1篇の文章を吟味することは難しい。だからこそ、当該の課を当該コース全クラスで扱わないようにするなどの申し合わせが必要だったように思う。
文相互、パラグラフ相互の結束性がおかしいことに気付くには、教師が結束性という概念を知らなければならない。そういう概念を知らなければ、それを授業で扱うこともない。しかし、文章を読んで理解するというプロセスにおいて、結束性を把握できなくても大丈夫ということはないであろう。つまり、結束性のおかしさに気付かないということは、リーディング授業を成立させてないということなのだ。文章付きグラマー授業では、文章の良し悪しなど関係ない。文章は文法や語法という知識の梱包材に過ぎないからだ。tmrowing先生が提案している「高ため三部作」のような良質な教材が欲しいという感覚自体が麻痺している現実が、すぐそこにあるのだと実感した。