持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

ライド・オン・タイム

受験英語ブラックボックス

学校の受験指導で、とにかくたくさんの問題を解かせようという考え方がある。これ自体に間違いはないのだが、ゆっくり丁寧に解いても解けない生徒に量こなせというのは酷ではないか。これなら解法を提示して時間を掛けて習熟させていくやり方のほうがましな気がするのだが。こういうブラックボックス信仰は、やはりクラッシェンとか、あの辺りの影響があるのだろうか。*1

構文主義よりパラリーのほうが分かりやすいのか?

私が担当しているクラスの前任者は、構文主義者だったらしい。私の授業では読解文法も扱うが、時間的な制約もあって各課のはじめにスキミングを行ったり、受験対策ということで設問に対するアプローチにも触れたりしている。生徒のなかには、私のこのやり方のほうが「分かりやすい」という者もいる。
最終的に到達すべきタスクが同じであるならば、構文主義だから難しいということはないはずである。おそらくは、文法構造の理解とは本来無関係な、文法用語などの難解さが災いしたのだろう。このブログで以前から触れているように、私は訳読的な授業を否定しない。やり方次第で成果をあげることができるからである。逆に解法を中心に据えた授業が望ましいとは思わない。だが授業の実態は総花的である。
ただひとつ分かったこと。生徒達はけっして高いメタ言語能力を持ってはいないということ。ならば、授業のどこかで基本的な文法概念を復習させ、読解力の基盤を整備していく必要がある。だが授業では時間が取れない。そこで思いついたのが、「英語通信」方式である。またの名をチラシ式自習教材。ただし、試験期間が近づいて印刷室の使用に制約が出てくるので、いつどのようにやっていくのか、思案のしどころである。

*1:タイトルに深い意味はない。「ブラックボックス」という言葉から、「ライド・オン・タイム」が浮かんだだけのこと。たしか、90年前後の曲だったと思う。BBCの短波放送でよく聴いてた。