『中等国文法別記口語編』を読む(その1)
文法の任務・目的
時枝(1950)の巻頭には、国文法の任務・目的について述べられている。
- 文法の学習は、他人の話や文章を理解し、或は自己の考えを表現するに必要な「ことば」の法則を学習し、これを身につけることである。
- 文法の学習は、それが購読や作文に適用され、理解と表現とに役立つことによって、その目的が達せされる。
- そこから、自然に、国語の構造がどのようなものであり、「ことば」の機能がどのようなものであるかが会得されて来る。それは実践によって認識を高めることである。
- 文法の学習それ自体を、現象の観察、法則の発見という作業として課すべきではなく、文法学習によって、聞き方・読み方を厳正にし、表現を的確にすることに教師の注意と関心を向けるべきである。
つまり、時枝は「国語的実践」「国語的実践」を通して、文法を自覚的に体得させるべきものだと言っているのである。この点はその後の国語教育の実際と、英語教育の状況を考えれば、当たり前のようで当たり前でないこと指摘しているようでならない。
この本、もう少し読んで参ります。
参考文献
- 時枝誠記(1950)『中学国文法別記口語編』中教出版.