漢文生活(その3)
訓読の脆弱性
漢文訓読において、助字の訓読の仕方をリストにして覚え、それを文脈に即して使い分けるようにと言われることがある。その文脈は何を理解することによって把握できるのか明らかにしてくれる教師は少ない。助字の訓読の仕方についても複数の訓読表現を暗記するというカタログ・アプローチが横行している。漢字を表語文字とする立場に立つならば、その語がどのような意味を持ち、どのような文法的機能があるのかを、何らかの形で学習者に認識させなければならない。
漢文のような、初学者には得体の知れないテクストを、トップダウンで読ませるには無理がある。これらのテクストは現代日本人の日常生活から内容を類推できるような代物ではない。だとすると、ボトムアップの読み方が重要になってくる。そのボトムアップ処理が適当に訓読しているうちに何とかなりますよというような楽観主義者に支配されているとしたら、残念だ。