持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

私の英文法指導歴(その2)

はじめに

ひき続き、id:anfieldroadさんの「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!」の第2回「英文法指導」に参加するために書いています。

語順提示の探究

学部4年の1996年、『英語教育』で大場昌也先生による「新しい学校英文法のための5つの提案」という短期連載が掲載されました。生徒に語順をどのように提示したらよいかを考えていた私には、気づきをもたらすものでした。生成文法の知見を生かすということの可能性を探るようになったのはこの時期です。『英文法総覧』(安井稔著、開拓社)や『英語教師の文法研究』(安藤貞雄著、大修館書店)を読み直し、Chomskyを読み返し、GazdarらのGPSGや、Pollard and SagHPSGなども読み囓ったりしました。大場先生の連載記事で言及のあった、Celce-Mucia and Larsen-FreemanのGrammar BookやBurton-RobertsのAnalyzing Sentence、MorenbergのDoing Grammarなども読み漁りました。この辺りの知見を吸収することができたのは学部3年の時にお世話になった、長谷川欣佑先生やJohn Whitman先生のおかげです。
当時作ったプリントが現在も残っているのですが、現在私が授業で使っている者と比べると、生成文法剥き出しという印象はぬぐいきれないですが、私が英文法を教えるうえで、いや日本語文法をも含めた私の文法教育全般の実践に対して大きな収穫をもたらしたものと言えます。ただ、Grammar Bookなどを読んでいく過程で、形式も意味もバランスよく扱っていくことの重要性にも気づきました。また、『学習文法論』(金谷憲編著、河源社)などを読み、教師が持つべき文法の知識体系と生徒に提示方法とは別に考えるべきだということも認識するようになりました。

予備校デビュー

学部卒業後はわけあって予備校の教壇に立つことになりました。最初に出講した予備校では文法事項が首尾よく整理された教材が用意されていて、気持ちよく教えることができました。しかし、私自身が教育実習以外では個別指導しか経験してこなかったために、授業の技術に問題があり、生徒の反応は芳しいものではありませんでした。次に出講した予備校では文法教材が劣悪で、この教材を作った人は本当に文法をわかってるのかということを疑いたくなるような構成のものでした。私自身が学習文法をどのように体系化していくかということに興味を持てていたのは学部を出て2年目くらいまでで、その後は英文法の授業をどのように組み立てていくのか、という現場の問題を解決する方向に関心が移っていきました。予備校講師としての開眼といってもいいかもしれません。もっとも、その後は公務員講座の講師をしたり、英和辞典の執筆に時間を割いたり、翻訳の勉強をしたりとしたこともあり、大学受験の指導からやや距離を置くようになりました。そしてそのことが、私の言語教育の立ち位置を決定づける着想を得るきっかけともなりました。

今日はここまでです。続きは後日。