持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

全国大学国語教育学会高知大会

学会発表のこと

先週末に高知大学で行われた、全国大学国語教育学会高知大会に参加し、発表してまいりました。「古典の「訳読」で育む現代語の力」というテーマで、古典の現代語訳が現代日本語の表現力の向上につながるという提案を、翻訳理論や第二言語習得理論の見地からいたしました。国語教育プロパーの方にはなかなか分かりにくい視点からのアプローチだったかと思いますが、日曜日の午後という悪条件にもかかわらず、比較的多くの方々に聴いていただけました。質疑応答の中で貴重なご意見を賜ることもできました。
学習指導要領が古典教育を詳細な訓詁注釈に陥らないようにしようとしているなかで、その流れに逆行するのではというご意見もありました。この点については精読の過程で必要以上の品詞分解を避ける必要があると考えています。そのためには学校文法を再構築して精読に必要な教育文法としての古典語文法を記述していく必要があります。そして、「伝統的言語文化と国語の特質」を国語科教育で扱う以上は、古典教育がことばの教育から離れてはならないということを、国語科教育に関わる者は忘れてはならないと思います。「訳読」は古典教育をことばの教育のなかに位置づけるためには必要な言語活動であると考えます。

懇親会のこと

最近、懇親会ではベテランの先生方のほうから、私を見つけてはいろいろご教示してくださることがあります。非常にありがたいことだと思います。今回もご教示いただいたことを週明けにさっそく検討し、自主ゼミで発表して同期の院生と有意義な研究協議を行うことができました。規模の大きい学会ゆえ、さまざまな関心をお持ちの方がいらっしゃいます。こちらが何か言えば、その発言に興味を持ってくださる方が必ずいるのだと言うことを実感いたしました。
このブログを以前からお読みの方であれば、この学会に対する私の受け止め方が少しずつポジティブなものに変わってきていることにお気づきであるかもしれません。大学院修了後は、国語教育と英語教育の両方に携わりながら、言語教育という広い視点に立って、国語教育以外の学会にも積極的に参加していこうと考えておりますが、今後もこの全国大学国語教育学会に参加していこうと考えております。