持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

授業のこと

学級という集団

講義形式の授業では、講義を聴くか聴かないかは学習者の自由であるとして、一方的に進めていくことも可能です。しかし、講義を聴く動機付けが高い方が実りのある授業になるのは当然です。講義形式以外の、学習者がより主体的に参加する形式の授業では、参加するかしないかが学習者の自由というのでは、たちまち授業が立ちゆかなくなってしまう。ときには、自分さえ勉強ができるようになればいいのでグループ・ワークなんかやりたくないという生徒も出てきます。学級の一員でありながら学級のありようにもはや無関心になっているのかもしれません。
このように考えていくと、教師が教科内容だけを熟知しても授業が成立しない可能性あるのではないかということに気づきます。私は不勉強にして20代の頃はそんなことも気づかずにいました。自分は担任なんかできる器の人間ではない、だから教科を教えることに徹したいと考え、主に在野でキャリアを重ねてきましたが、その過程で欠落していた認識の一つがこれです。たとえば、あるクラスの特定の教科を教えるだけだとしても、その学級の状況を把握して、その状況に合った授業のあり方を模索していくことになるわけです。学びの成立要件ということを学級集団の側から見ていくと、教師として学ぶ必要がありながらこれまで学び損ねている知見がいろいろ見えてきます。