英語−読む
伊藤の読解文法 山口(1997)によると、伊藤は英語の文構造の分析と解明をしていく上で、Sweet, Jespersen, Poutsma, Curmeなどの専門書に当たっていたという。このことを裏付ける記述がある。 文中の1部を強調のためにIt is ... thatではさんで文頭に出すこ…
構文主義の成立過程 一般に「伊藤和夫」というと『英文解釈教室』のイメージが強く、英語を構文という視点から分析して解読していく「構文主義」の予備校講師と見られている。そしてこの「構文主義」の是非を巡る議論がいまだに絶えない。本稿では「構文主義…
チャンクとチャンキング 深谷・田中(1996)は、コミュニケーションの流れの中でのコトバ*1は、その流れの中で使用される断片が配列されたものと捉えている。より一般的な言い方をするならば、コミュニケーションにおける言語表現・言語理解の単位は「文」では…
両者の言い分 英文読解の方法論に関して、特に受験英語の世界で見られるのが、「パラリー派」と「構文派」の対立である。「パラリー派」とはパラグラフリーディングを身につけることを読解学習の中心に据える立場であり、「構文派」は「構文」によって英文を…
大学入試に和訳が出ているということ 靜(2006a,b)では、大学入試の英語問題における最大の問題点は下線部和訳問題*1にあると指摘している*2。この問題点に関して、靜(2006b)から3つの論点を引き出すことができる。 入試に下線部和訳問題が出題されることの…
読解文法の理解 明示的で演繹的な文法指導は、暗記中心ではない方が望ましい。読解文法では書き言葉では使用頻度が低い文法事項を排除し、本当に必要な知識のみを扱うようにする必要がある。文法をFORM、MEANING、USEの3つのレベルで見た場合、MEANINGに関…
英語は暗記科目ではない? 受験英語の世界は、教え方が「差異の戯れ」と化すことが多い(入不二1997)。このため「英語は暗記科目ではない」という発言が予備校講師によってなされることは決して不思議ではない。しかしこの発言を正しく理解している受験生は…
文法問題の問題点 大学入試の英語の出題を見ていると、現在でも独立した形式での文法問題が出題されている。大学によっては出題比率と合格ラインの関係上、文法問題さえ解ければ合格できてしまうことも決して珍しいことではない。こうした文法問題が出題され…
英語の場合 英語の読解指導・読解学習の全体的な流れは、以前示したとおりである。 文構造の把握 品詞・句構造規則・文型の理解 上記の知識を利用した文理解の実践 パラグラフ構造の把握 パラグラフ構造の理解 上記の知識を利用したパラグラフ理解の実践 文…
「意味理解後訳」による理解の確認 従来から広く行われている文法訳読法の最大の問題は、学習者が英語のシニフィアンから日本語のシニフィアンに移し替えることに終始し、シニフィアンを捉えようとしない点にある*1。しかし文章全体の理解を確認する方法とし…
要約 谷口(1992)によれば、要約(summarizing)とは読み手の総合的な能力が要求される認知的な行為で、読みの最終段階に位置するものであるという。また高梨・卯城(2000)は大意の把握がある程度できるようになったらその感覚を確かなものにするために要約文…
予備的な読み 従来の文法訳読の問題点はこれまでにさまざまな点が指摘されてきたが、訳読そのものだけでなく、どんな文章なのかも分からないでいきなり訳読を始めてしまうというストラテジーにも問題があると言える。天満(1989)は文章レベルの読解ストラテジ…
パラグラフリーディング 谷口(1992)によればパラグラフリーディングとはパラグラフ全体が何を伝えているかをつかむ読み方であると定義している。そのために次の2点を常に念頭に置いて読む必要があると指摘している。 トピックセンテンスがどの文であるか。 …
リーディングに関する文献の前提 日本人の研究者の手による、日本人学習者・日本人教師を念頭に置いた英語リーディングの研究所、概説書は多い。これらの文献に共通しているのは従来の文法訳読式の指導・学習を見直す、ないしは文法訳読式に欠けているものを…
言語運用過程と言語習得過程 リーディングに関する文献に目を通せば、リーディングのメカニズムが最近の認知科学の成果を踏まえて記述されていることが多い。しかし指導法に関しては精読・多読・速読などに分かれて記述されてはいるものの、「読解力」という…
レトリカル・リーディング 訳読かコミュニケーションか、という不毛な二項対立の図式から脱却し、読みもまた広義のコミュニケーション行為に含まれると考えた場合、リーディングを読み手による主体的な行為として捉える必要がある。読み手が主体的に読むとい…
説明的文章の基本構造 寺島(1986)は文章を説明的文章と文学作品に大きく二分した上で、説明的文章の基本構造として次のようなモデルを提案している。 前文(Opening) 本文(Main) 序論(Introduction) 本論(Discussion) 結論(Conclusion) 後文(Closi…
日本語における「段落」の概念 日本語における「段落」について、市川(1959)は「文段」という用語を使って次のように述べている。 「文段は一般に、形態的には「行かえ」のところで、意味的には一つの内容のまとまりとして把握される。われわれは、行かえの…
談話レベルの理解 1文1文の理解はできるようになっても、文章全体で何を言っているのか分からないということはよくある。優れた読み手と未熟な読み手の違いは文レベルではなく談話レベルにあることはよくいわれることである。宮浦(2002)によれば各文の理解…
直読直解とフレーズリーディング 「直読直解」という言葉は日本人の英語学習において2つの意味を持つ。 左から右へと英文の流れに沿った理解 和訳をせずに英語からの直接的な理解 このうち2.は訳読式の学習であってもやがて和訳を経ずに理解できるようにな…
文法と英文解釈 伊藤(1997)は、品詞論を中心に据える従来の学校文法ではなく、文構造を中心とした文法でなければ英文解釈には役立たないと主張する。実際伊藤はその主張を自らの手による参考書のなかでそれを実現している。しかし知識としての文法をどのよう…
読解過程と読解学習過程 文章を理解する際には、単語の認識から文の理解を経てより大きな言語単位の理解につなげていくボトムアップ処理と、背景知識などを駆使し文章の内容を予測し確認していくトップダウン処理が同時にはたらくと考えられている。しかし読…
今日も訳読について論じていきます。 訳読は本当に訳読だったのか? 文法訳読法は英語ではGrammar Translation Methodという。translationには「翻訳」という訳語が当てられることもある。「訳読」と「翻訳」の違いについてはすでに述べたとおりである。 松…
きょうは、『現代英語教育』誌の記事をレビューしながら、訳読と意味理解について考えていきます。 学力の向上による文法訳読の変容 横山(1998)は文法訳読法の概略を初級・中級・上級の3段階に分けて説明している。 初級:学習者は文法現象を見て確認するた…
英文解釈参考書と英文読解 学校文法の初歩に単語・熟語の知識を含めた「基礎」から出発して、それに加えて何をしたら英文が読めるようになるかという方法を示すことが英文解釈の参考書の役割であった。これらの参考書は大きく3つに分けられる。 熟語中心の…