持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

読解文法の定着

読解文法の理解

明示的で演繹的な文法指導は、暗記中心ではない方が望ましい。読解文法では書き言葉では使用頻度が低い文法事項を排除し、本当に必要な知識のみを扱うようにする必要がある。文法をFORM、MEANING、USEの3つのレベルで見た場合、MEANINGに関しては最近の認知意味論の知見などを援用すれば、学習者が納得できるような説明が可能であろう。USEに関しては演繹的な説明から外して、ここのみ帰納的に扱うこともリーディングでは考えられてよい。しかしFORMを扱う場合には、こじつけ的な説明よりは、さらっと暗記してもらった方がよいこともあり得る。この点についてはこのブログでも何度か触れているので、ここでは詳細は割愛する。

読解文法の定着

受験英語では、読解にも役立つことをうたっている文法問題集や参考書がある。このため文法問題集を一通りこなしてから、読解対策を始めるという受験生も多い。このやり方だと、約1年の学習計画のなかで実際に英文を読み始めるのがかなり遅い時期になってからということになってしまう。しかもこのアプローチは完全にボトムアップであるため、文より大きな単位であるパラグラフの概念に触れてパラグラフリーディングができるようになるには時間切れという結果に陥ってしまう。
こうした状況を打開するためには、読解文法を定着させるには、実際に英文を読み込まなければならないという事実に気づく必要がある。読むことによってしか読めるようにはならないのである。そのためには、参考書を参照しながらでも、教師の支援を受けながらでも、英文を読んでいくことこそが、読解文法をリーディングに活かしていくうえでは大切である。