持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

ぼそぼそ

書くことと言語意識

見てるだけでは不十分 文法知識を身に付けるには、「分かって、使って、感じ取る」の3つの段階を経ることが重要だと考えている。「分かる」とは言語知識を理解することである。文法は形態統語的な形式に関わる知識、意味に関わる知識、語用論的な文脈や場面…

なんでだろう

シャープペンの替芯は机の上に必要か 非常勤先の高校で後期中間試験の試験監督をしていたら、机の上にシャープペンの替芯を置いている生徒が多いことに気付いた。だが疑問なのは、50分の解答時間で芯が何本も必要となることがあるのだろうか。万が一力が入り…

言語事実などについて

予備校と高校 三省堂の『現代英語語法辞典 (Sanseido's Dictionary of Present-day English Usage)』を購入した。現在出講する予備校の講師がツイッターで言及していてその存在を思いだし、出身学部の大学図書館で目を通し、購入を決断した。この講師に限ら…

日本語と英語の力

日本語を利用した英語教育の前に・・・ 「英語の授業は英語で」に対するアンチテーゼとして英語教育に積極的に日本語を活用しようとする動きがある。だが、もっと大事なことは国語教育のなかに外国語学習への基盤を構築する要素を取り込むことではないだろう…

屁理屈

文系英語と理系英語 とある仕事先での話。生徒に向かって盛んに「文系の英語と理系の英語は違う」と説く講師がいた。文系の英語は訳も分からぬまま暗記をさせることが多いが、理系の英語はリクツで説明するのだという。こういう屁理屈にもならない話を熱く語…

人柄

大切なこと 大学の先生方にはいろいろな方がいるようである。その多様性の「変域」は予備校講師のそれとは少々違う気もするが。学問的な情熱みたいなもので言えば、学部時代にお世話になったH先生のような方もいる。ゼミにもお誘いしてくださったのだが、同…

文法のプリント

古いものは15年前? 後期からの高校の授業で進度を確保するため、プリントを配布しようと考え、過去に制作したプリントのファイルを開けてみて書き直しが必要かどうか見ている。すると、こまめに改訂した形跡が見られる項目がある反面、最初に作って以来ほと…

いろいろやってます。

過去の空白期間を利用して国語教育関係の覚え書きを入れている。あくまで覚え書きなのでお気になさらぬよう。こう言うところに書いておくとケータイからでも見ることができるので、何かと便利なのだ。 非常勤先の高校が学期末〜秋休み期間のため、家で仕事を…

古文の夏(その2)

単語集の用例 古語の用例を見ていて、気付いたことがある。動詞の用例に連体形のものを採用したものが多いことである。動詞はどのような名詞句と共起するか分かるように、主節の述語の位置で用いられている用例を示すべきだと思うのだが、そういう配慮とは別…

古文の夏

現代語と古語との相違 今月に入り、古文を学び直している。英語教師が言語知識の幅を広げるために英語以外の外国語を学ぶケースも多い。だが私は、母語である日本語を見つめ直したいという気持ちがあり、まず古文を学ぼうと思った。古語というのは日本語なの…

電子辞書のこと

携帯辞書今昔 私が携帯サイズ*1の辞書を使い始めたのは、高校時代に『新コンサイス英和辞典』を使い始めたのが始まり。サイズの割に収録語数が多く、大学時代も使うことが多かった。予備校講師をするようになってしばらくは実家から仕事に行っていたため、新…

噂を信じちゃいけないよ

ネットの評判 個人でこっそりと家庭教師でもやっていれば、なんでもないのだろうが、大手と呼ばれるところの教壇に立っていると、知らないうちに世間での評価が形成されてしまうことがある。最近も2ちゃんねるで私の講義に対する評価が出ていた。ただ、イン…

量と質

コマ数が先か、教材が先か。 同じ受験対策でも、予備校と高校ではコマ数と教材の関係性に違いがある。予備校ではコマ数に合うような教材が制作される。これに対して高校では出来合いの教材を学校所定の単位数×週数に当てはめていく。予備校では当該講座の実…

近況など

予備校講師に本格復帰 先日、数年ぶりに高校受験英語に携わることになると書きましたが、今月から予備校で大学受験英語を教えることになりました。こちらも数年ぶりの復帰です。高校の非常勤も続けるので、受験英語とか学校英語というものをさまざまな現場か…

高校受験の英語からみる学校外英語教育の未来

塾は必要なのか 久しぶりに高校受験指導に携わる機会を得た。そこで感じたこと。それは教材やカリキュラムが旧態依然としているということである。中学校の現場では受験を踏まえつつ受験を超えた指導が定着しつつあるように思う。もちろんそういう実践をすべ…

予備校専業からその後

ここに書くのは、こちらからの続きです。 すばらしい出会いの数々 予備校というのはsalad bowlである。いろいろな事情で講師をやっている方がいる。予備校講師になるべくしてなった方もいる。司法試験や公認会計士試験などを目指していて合格するまでの生活…

学生時代のことなど

大分汚職に思う 不正な得点操作で合格した教員を解雇し、逆に操作によって不合格になった者を教員として採用するというのは合理的ではある。しかしそれとは別に、教員採用試験が試験として適切で妥当であるかどうかという問題がある。つまり、「どうもあの先…

英和辞典と英英辞典

教材研究での使用 英語の教師もやってるので、自宅の仕事場にはそれなりに英語の辞書がある。教材研究のときには英和辞典と英英辞典をいくつか併用している。英和辞典のメインは『アドバンストフェイバリット英和辞典』(東京書籍)。これは執筆者の一人とし…

辞書と教材研究のこと

『岩波英和大辞典』 世の中ネットで本を買う時代のようである。都内在住であっても、メトロと都営*1を乗り継ぐ高い運賃を払って神保町に行くより、涼しい部屋でマウスと戯れているほうが快適ではある。しかし、低価格の古書の場合、書き込みや傷みがどの程度…

「地に足が着く」ということ

このブログに対してお褒めの言葉を戴くときに、「地に足の着いた」論考であると仰っていただくことがある。これは自分がつねに意識していることでもあるので、ありがたい限りである。 本当に大切なことは抽象化して、理論化して、多くの人たちと共有すべきだ…

読解指導と作文指導の非対称性

読解指導での文章のとらえ方と、作文指導での文章のとらえ方は同一のものなのであろうか。違うと思う。読解指導では、どんなに悪文であっても理解できることを目指さなければならない。しかし、人の振り見て我が振り直せ、である。作文指導では、読み手に余…

言語知識について

国語教育においては、文章理解のための文法は記述的であるべきだが、文章表現のための文法は規範的であるべきだと思う。ただし、小学校レベルでは言語規範で表現意欲を過度に抑圧することのないように配慮すべきではあると思う。英語教育においては、文法を…

脱言語の受験小論文・受験現代文

受験小論文や受験現代文は、なぜ言語から離れようとするのか。テレパシーこそが究極のコミュニケーションのあり方だとでも思っているのだろうか*1。「小論文は作文ではないから言語表現にこだわらなくてよい」というのはどういうことなのか。「作文」は「論…

「知識の伝達」と「技能の伝達」

法律系の資格試験対策を主に行っている会社で仕事をしていると、法律科目以外の講義であっても、法律を講義する場合と同様のシラバスデザインが前提となっていることに気付くことがある。例えば、「インプット」と「アウトプット」や、「講義編」と「演習編…

受験小論文の担い手

「国語」の領域なのか? 大学入試が多様化するにつれて、「小論文」が受験科目のひとつとして認知されるようになった。大手大学受験予備校では「論文科」を設けていて、国語とは別に扱われるようになっている。だが、一般的には国語、とりわけ現代文の講師が…

古文デビューからまもなく1年

何のために古文を教えるのか 自分の関心が、受験教育から言語技術教育にシフトしているのに、なぜか古文を教えたいという欲求も高まっている。なぜだろうか。おそらく、自分の中に教養教育というか、文学教育みたいなものへの畏敬の念があるからなのかもしれ…

悪文理解教育

国家公務員採用試験に見る「小論文」試験 国家公務員の採用試験には幹部候補のI種、それ以外の大卒向けのII種、高卒や再チャレンジ向けのIII種の試験がある*1。これらの試験にはいわゆる「小論文」の試験がある。ただし、その内容や評価項目は職種によって…

文法についての雑感

いまこのブログでは、日本語の、文章理解/表現における文法知識の役割と、英文法のコア理論と同時進行でやっているところ。コア理論、というかCPN理論が語彙や文法の学習に与えた影響は大きいと思う。だが、同時にその難解さゆえに多くの教師や学習者に…

結局、書き方なんて教わっていない。

作文教育のこと ここまで作文や文章表現の指導/学習について見てきたが、率直に言って、「こんなこと教わったことないぞ」ということが多かった。いままで経験してきた作文教育とは何だったのであろうか。ただ、日本語の文章を書くということに真剣に取り組…

弥生・朔日

ブックマークと検索と ブログのアクセスログを見ていると、ブックマーク、アンテナ、RSSなどから定期的にアクセスしている方と、検索結果からアクセスしてくる方がいらっしゃいます。後者の場合、英文法関連の用語からたどり着くことも多いようで、かなり古…