持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

文法についての雑感

いまこのブログでは、日本語の、文章理解/表現における文法知識の役割と、英文法のコア理論と同時進行でやっているところ。コア理論、というかCPN理論が語彙や文法の学習に与えた影響は大きいと思う。だが、同時にその難解さゆえに多くの教師や学習者に誤解されていることも多い。なかには曲解されたはずの教材や講座が、妙に学習者の人気を集めていたりもする。それに対して日本語の文章表現についてはどうだろうか。そこで関与する文法知識は、旧来の学校文法の体系のままであるようだ。それでも母語だからということで、文章表現のために文法を教えたり学んだりしなくてもよいのではないかという雰囲気になっている。現実は母語であるということに甘えていられる状況ではない気がするのだが。
学問的なことがどうこうよりも、実践こそ大切と言う。だが、私がこのブログで書いていることは、学問ではない。私自身が教師として身につけようと思っている常識である。たしかに、このブログに書いているような知見を生み出すこと自体は学問なのかもしれない。でもそれを学習して仕事に生かすという行為は学問の実践ではなく、常識の習得に他ならない。学術書を書くことは学問だが、学術書を読むことは学問ではない。私自身、学問をやるほど明晰な頭脳の持ち主ではない。ただ単に、「これ頭に入れておかなきゃ」と思ったものを覚え書きとしてブログに書くことくらいしかできない。それこそが応用言語学だということもできるだろう。でも、「○○学」という名づけによって、本来の目的を見失ってしまうのが怖い。
いまは、学習文法のあるべき姿を、日英語の両方について考えているのだ。それ以上の高尚なことをやっているわけでもない。ただ、それが従来の文法のままでもいけないし、言語理論むき出しで学習者を蔑ろにしたようなものでも困る。その点をもう一度確認しておこうと思う。