持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

言語事実などについて

予備校と高校

三省堂の『現代英語語法辞典 (Sanseido's Dictionary of Present-day English Usage)』を購入した。現在出講する予備校の講師がツイッターで言及していてその存在を思いだし、出身学部の大学図書館で目を通し、購入を決断した。この講師に限らず、予備校の英語講師は英語の言語事実を的確に把握し、生徒に伝えようとする傾向がある。これに対して、高校の教師の場合、当人がかなりのレベルの英語使いであるにもかかわらず、受験指導となると現代英語の実態とはかけ離れた古い時代の受験英語に縛られている感じがする。もちろん、受験を踏まえつつ受験を超えた、素晴らしい授業を展開している先生方もいるのは承知している。だが、新興進学校ではそうした授業、そうした教師はまれである。
私自身は今年度、本格的に大学受験指導に復帰したのだが、今の予備校現場には私が「若き先輩」と呼びたくなるような、研究熱心な若手講師が多い。講義形式の授業において、授業の質を高める方法として提示する知識を洗練させていくというのは有効である。高校ではそのようなことは一般的でない。文法知識は『チャート式シリーズ 基礎からの新総合英語(店売用)』をひたすらのぞき込みながら教材研究をしていたりというのが、よく見かける光景だったりする。その代わりに関心を持つのが授業技術である。こうした点は、高校と予備校の両方に身を置いてみて、初めて分かったことである。