持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

「知識の伝達」と「技能の伝達」

法律系の資格試験対策を主に行っている会社で仕事をしていると、法律科目以外の講義であっても、法律を講義する場合と同様のシラバスデザインが前提となっていることに気付くことがある。例えば、「インプット」と「アウトプット」や、「講義編」と「演習編」といったカテゴリーで講義内容が括られるといった具合である。
これは、膨大な知識体系を伝達することを主な目的とする講義と、習得した知識を活用して試験問題(またはその類題)を解かせ、その解説を行うことを目的とする講義に分けることで、学習効率を高めることを狙ったものである。これは、法律以外であっても、経済学や会計学などでもある程度機能するシラバスである。
しかし、例えば公務員試験の「一般知能科目」と呼ばれる、文章理解や数的処理のような科目となると、「知識の伝達」だけを先に行っても学習効果が現れにくいことがある。また、受講生に伝達すべき知識がいかなるものであるかが明確でないことも少なくない。
私が携わっている講座の多くは、ずいぶん前に「インプット」講義と「アウトプット」講義が統合されたため、シラバスが講師の裁量によって自由に組み立てられるようになった。講義形式で文章理解(現代文・古文・英文の読解)の講義を行う場合、受講生が学習する際の基本的な流れを把握しておく必要がある。それは、「学習法の意識化→学習法の実践」と「解法の意識化→解法の追実践→解法の自動化」という2つの流れである。講義で実際に扱うのは「学習法の意識化」と「解法の意識化」である。
つまり、「知識の伝達」の講義では、専門知識というモノを講義するのに対して、「技能の伝達」の講義では、解答や学習の過程というコトを講義するのである。これは論文試験対策や、面接・プレゼンテーション対策の講義にもあてはまる。こうしたノウハウは、半期や通年開講で長期的に指導するのとは違う、資格予備校ならではのものであるかもしれない。もっとも、こうした枠組みも私は人から学んだわけではない。自分の持っている知識と経験と、そこから得られる勘から構築したものである。

えっと、これ以上は書くのをやめましょう。商業目的ではないので・・・