持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2009-01-01から1年間の記事一覧

これでいいのか受験指導

大学の授業について行けない優等生 数年前、大学の後輩でゼミの発表がうまくできないと悩む学生がいた。話を聞いていると、高校時代は成績優秀であったらしい。教師が示すものを何の疑いもなくただ覚える。その繰り返しで定期試験をクリアし、評定平均を積み…

噂を信じちゃいけないよ

ネットの評判 個人でこっそりと家庭教師でもやっていれば、なんでもないのだろうが、大手と呼ばれるところの教壇に立っていると、知らないうちに世間での評価が形成されてしまうことがある。最近も2ちゃんねるで私の講義に対する評価が出ていた。ただ、イン…

良質な受験英語

きっかけは・・・ 予備校での英語の授業は、いわゆる受験英語を正面から扱うものである。大学入試問題が解けるようになるような学習指導をするのだから、当然のことである。ではその対策が皮相的なテクニック一辺倒であったらどうかというと、私個人としては…

まさかと思うが・・・

ライティンG 文法の授業のことである。必ずしも文法力の高いクラスではないのに、異様に進度の速いクラスというのがある。私が教育実習をしたときに3年理数科の文法の授業を見せていただいたことがある。板書はなく、閉め初された生徒が淡々と答えを言って…

凡庸たり得ない不幸

これはかつて予備校の教壇に立っていた経験を持つ哲学者、入不二基義氏が予備校講師について指摘したことである。大学受験予備校の講師はつねに、「高校の授業との差別化」の呪縛から逃れられないでいる。これが進むと「他の予備校講師との差別化」の呪縛に…

量と質

コマ数が先か、教材が先か。 同じ受験対策でも、予備校と高校ではコマ数と教材の関係性に違いがある。予備校ではコマ数に合うような教材が制作される。これに対して高校では出来合いの教材を学校所定の単位数×週数に当てはめていく。予備校では当該講座の実…

開講日

黒板やマイクの話 高校の授業と予備校の授業の違いはいくつかあるが、その1つに黒板のサイズがある。予備校の黒板はとにかく横幅がある。高校の黒板の倍はあると思う。これは教室が大きいためであるのだが、同じくらいの収容人数があっても大学の教室とも違…

辞書よりも頭を使え!

「知識の獲得」と「知識の運用」 第2言語習得研究の世界ではskillだが、受験英語の世界では「知識」のほうがしっくり来ると思われる。テキストの予習のつもりで、辞書を引きながら必死になって発音問題を解いている生徒がいる。彼らはいつになったら辞書引…

新年度スタート

今年も週15コマ 非常勤先の高校の新年度の授業が始まった。私が今年度担当するのは、2年の「ライティング」3単位×1クラス、3年の「リーディング」5単位×1クラス、「ライティング」3単位×1クラス「英語演習」4単位×1クラスの15コマである。コマ…

「作文」と「小論文」

「小論文とは違う作文」とは何か 受験小論文の世界では、「小論文は作文とは違う」と言われる。では、その「小論文とは違う作文」というのは何を指しているのだろうか。長尾(2001)は広義の作文と狭義の作文を区別している。長尾は広義での作文を作られた文章…

近況など

予備校講師に本格復帰 先日、数年ぶりに高校受験英語に携わることになると書きましたが、今月から予備校で大学受験英語を教えることになりました。こちらも数年ぶりの復帰です。高校の非常勤も続けるので、受験英語とか学校英語というものをさまざまな現場か…

コメントとメールについて

このブログでは、どなたでもコメントを書き込めるようにしております。コメントを書き込む場合は、ご自身のメールアドレスかURLがわかる形でお願いしております。これらのリンクなしで名前の欄に実名を入力していただいても結構です。こちらも実名*1でやって…

高校受験の英語からみる学校外英語教育の未来

塾は必要なのか 久しぶりに高校受験指導に携わる機会を得た。そこで感じたこと。それは教材やカリキュラムが旧態依然としているということである。中学校の現場では受験を踏まえつつ受験を超えた指導が定着しつつあるように思う。もちろんそういう実践をすべ…

なぜ頭を使わないのか。

「できる子」と「できない子」 わざわざカギ括弧を付けているということは、必ずしも本来の意味合いでこれらの表現を使っているわけではないということである。 英語Iや英語IIが「できる子」というのは、教科書の全訳を予習で試み、授業では訳せなかった…

「普通の訳読の授業」が持つ不思議な力

「英語I」や「英語II」は受験対策上、リーディングに特化する傾向がある。学習指導要領の改訂案はおそらくこの傾向を打破したいのであろう。しかし、二兎を追う者は一兎をも得ず。いわんや四兎をや、である。限られた授業時間のなかで4技能すべてが中途…

英語I

実は、退職することになった同僚の代講として、今週から1年生の授業を担当することになった。久しぶりの検定教科書を使った授業である。教科書に目を通しながら、あまり深入りしないでさらっと流そうと思っていたのだが、この時期に「英語を読む」という意…

高等学校・新学習指導要領案を考える(その5)

コミュニケーションと言語習得 今回の改訂案に一貫してみられることは、「コミュニケーション」により特化しているということである。ここでの問題点は、この案の作成者がコミュニケーションという概念をどう捉えているのかというコミュニケーション観ないし…

高等学校・新学習指導要領案を考える(その4)

言語材料の扱い 言語材料のうち、まずは語彙から見ていく。中学校学習指導要領では1,200後程度の語彙を扱うことになっている。「コミュニケーション英語I」ではこれに400語程度の新語を加えたものとなっている。ここまでで約1,600語である。これに続く「コミ…

高等学校・新学習指導要領案を考える(その3)

コミュニケーション英語I・II・III この科目は現行指導要領での「英語I」や「英語II」を継承したものである。「コミュニケーション」という言葉を用いているため「オーラルコミュニケーションI・II」を継承したものにも思えるが、文部科学省が資料として示し…

高等学校・新学習指導要領案を考える(その2)

コミュニケーション英語基礎 この科目の目標は、「英語を通じて、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことなどの基礎的な能力を養う。」となっている。また、内容面では中学校での学習と「…

高等学校・新学習指導要領案を考える(その1)

「新しい高校英語」の器 まずは第1章総則の第1章第2款から、外国語の科目と単位数について見ていく。 コミュニケーション英語基礎:2単位 コミュニケーション英語I:3単位 コミュニケーション英語II:4単位 コミュニケーション英語III:4単位 英語表…

新年のご挨拶

ご挨拶 皆様、あけましておめでとうございます。 本年もご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 今年やること いったんは大学受験指導から完全に遠ざかっていた時期もありましたが、今年は大手予備校への出講を含め、本格的に復帰することにな…