持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

高等学校・新学習指導要領案を考える(その1)

「新しい高校英語」の器

まずは第1章総則の第1章第2款から、外国語の科目と単位数について見ていく。

コミュニケーション英語基礎:2単位
コミュニケーション英語I:3単位
コミュニケーション英語II:4単位
コミュニケーション英語III:4単位
英語表現I:2単位
英語表現II:4単位
英語会話:2単位

第3款で必履修科目の規定があるが、これによると外国語では「コミュニケーション英語I」が必履修科目となっている。またその単位数は「生徒の実態及び専門学科の特色等」によって3単位から2単位に減らすことができる。第4款によれば全日制課程では授業を年間35週行うことが標準となっている。これを踏まえてコマ数の観点から上記の科目を見ると次のようになる。なお、1コマは1単位時間として標準的な50分で計算する。

コミュニケーション英語基礎:2×35=70コマ
コミュニケーション英語I:2〜3×35=70〜105コマ
コミュニケーション英語II:4×35=140コマ
コミュニケーション英語III:4×35=140コマ
英語表現I:2×35=70コマ
英語表現II:4×35=140コマ
英語会話:2×35=70コマ

これが「新しい高校英語」の器であるということを押さえておく必要がある。そして器を理解したら中身の検討に入っていく。

「新しい高校英語」の中身

引き続き総則を見ていく。第5款2の「各教科・科目等の内容等の取扱い」では第2章(=教科ごとの記述)の範囲を超えた内容や基礎基本事項を扱うことが可能であるということを示している((1)および(4))。また、第5款5の「教育課程の実施等にあたって配慮すべき事項」には、次のような記述がある。

(1)各教科・科目等の指導に当たっては、生徒の思考力、判断力、表現力等を育む観点から、基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに、言語に関する関心や理解を深め、言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え、生徒の言語活動を充実すること。
(7)学習の遅れがちな生徒などについては、各教科・科目等の選択、その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い、生徒の実態に応じ、例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど、指導内容や指導方法を工夫すること。

ここまでの点を踏まえて、外国語の各科目について見ていくことになる。(つづく)