持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

高等学校・新学習指導要領案を考える(その3)

コミュニケーション英語I・II・III

この科目は現行指導要領での「英語I」や「英語II」を継承したものである。「コミュニケーション」という言葉を用いているため「オーラルコミュニケーションI・II」を継承したものにも思えるが、文部科学省が資料として示している「概略イメージ」なる矢印によれば上述のようになる。「コミュニケーション英語I」の目標は「英語を通じて、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに、情報や考えを的確に理解したり適切に伝えたりする基礎的な能力を養う。」となっている。これが「コミュニケーション英語II」になると最後の部分が「…能力を伸ばす」となり、「コミュニケーション英語III」では「能力を更に伸ばし、社会生活において活用できるようにする」となる。
現行指導要領の「英語I」の目標は、「日常的な話題について、聞いたことや読んだことを理解し、情報や考えなどを英語で話したり書いたりして伝える基礎的な能力を養うとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。」となっている。また「英語II」の目標は「幅広い話題について、聞いたことや読んだことを理解し、情報や考えなどを英語で話したり書いたりして伝える能力を更に伸ばすとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。」となっている。

「コミュニケーション英語」の内容

次に、「コミュニケーション英語I」の内容についてみていく。この科目では次のような言語活動を英語で行うものとされている。

  1. 事物に関する紹介や対話などを聞いて、情報や考えなどを理解したり、概要や要点をとらえたりする。
  2. 説明や物語などを読んで、情報や考えなどを理解したり、概要や要点などを捉えたりする。また、聞きき手に伝わるように音読する。
  3. 聞いたり読んだりしたこと、学んだことや経験したことに基づき、情報や考えについて、話し合ったり意見の交換をしたりする。
  4. 聞いたり読んだりしたこと、学んだり経験したことに基づき、情報や考えなどについて、簡潔に書く。

こうした言語活動を効果的に行うために指導上配慮すべき点として、次のような事項が挙げられている。

  1. リズムやイントネーションなどの英語の音声的な特徴、話す速度、声の大きさなどに注意しながら聞いたり話したりすること。
  2. 内容の要点を示す語句や文、つながりを示す語句などに注意しながら読んだり書いたりすること。
  3. 事実と意見などを区別して、理解したり伝えたりすること。

「コミュニケーション英語II」になると、内容が少し発展したものになる。

  1. 事物に関する紹介や報告、対話や討論などを聞いて、情報や考えなどを理解したり、概要や要点をとらえたりする。
  2. 説明、評論、物語、随筆などについて、速読したり精読したりするなど目的に応じた読み方をする。また、聞き手に伝わるように音読や暗唱を行う。
  3. 聞いたり読んだりしたこと、学んだことや経験したことに基づき、情報や考えについて、話し合うなどして結論をまとめる。
  4. 聞いたり読んだりしたこと、学んだり経験したことに基づき、情報や考えなどについて、まとまりのある文章を書く。

こちらの指導で配慮すべき点は次のようになっている。

  1. 英語の音声的特徴や内容の展開などに注意しながら聞いたり話したりすること。
  2. 論点や根拠などを明確にするとともに、文章の構成や図表との関連などを考えながら読んだり書いたりすること。
  3. 未知の語の意味を推測したり背景となる知識を活用したりしながら聞いたり読んだりすること。
  4. 説明や描写の表現を工夫して相手に効果的に伝わるように話したり書いたりすること。

なお、「コミュニケーション英語III」もこの2科目の延長線上にあるものと位置づけられている。(つづく)