持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

英語−総合

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境⑥

Going-concern assumption 永続事業仮説(Going-concern assumption)という会計学の概念がある。これは企業は永遠に存続して終焉がないという仮説である。言語教育・言語学習においても学習者をそのように考える必要があるように思われる。もちろん学習者は…

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境⑤

「原理なき英語教育」 大津(2005)*1では英語教育の現状を「原理なき英語教育」と呼んで改善策を提案している。大津がこう呼ぶのは次のような理由による。 (学校)英語教育が何をやろうとしているのか分からない。 英語教育の目的が不明瞭である。 英語教育…

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境・番外編

「カリスマ」と「バイブル」 今回は理論面での話ではなく、心構えのような話をします。理論面ではないのでですます調です。 すでに述べたように《My Applied Linguistics》という考え方のもとでは、教師(または学習者)が自らの目的を達成させるために、言…

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境④

語法研究の捉え方 言語研究には生成文法や認知言語学などの理論研究と言語事実の解明を目指す記述研究がある。日本人の英語教師にとって英語は母語ではないため、自らの言語直観だけで英語の言語知識を捉えることは困難である。このため英語の記述研究の知見…

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境③

言語学の捉え方 応用言語学は当然ながら言語を扱う。このため言語学の知見を利用することも当然と言えば当然である。しかし田中・白井(1994)の指摘のとおり、理論言語学と応用言語学とではその目的が大きく異なる。 応用言語学においては言語を学習過程と運…

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境②

コミュニケーション論の捉え方 コミュニケーション論の研究領域は多岐にわたるものであるが、一般化した言い方をするならば久米(1993:28)が言う「人間のコミュニケーション行動やプロセスに関するさまざまな現象に関する包括的かつ抽象的な分析や説明」と言…

《My Applied Linguistics》を取り巻く環境①

言語心理学の捉え方 大津(2002:56)によれば、言語心理学とは「人間のこころや脳の仕組みと働きを明らかにしようとする基礎研究」であるという。言語心理学は理論言語学と比べて英語教育に近い立場であり、そのまま応用しやすいと考えがちであるが、大津の定…

《My Applied Linguistics》という発想

研究者としての教師 阿部(1994)は、英語教師が理論と実践の両面に関心をもつべきであると主張する。しかし理論と現実がかみ合うことは経験的にも多くはないため、理論を捨て実践に走る教師が出てくる。それでも阿部は教師が真剣になって一貫性のある授業を英…

変な対立図式

英語学習において、以前から妙な対立図式がある・ 文法かコミュニケーションか 変である。妙である。「文法なんかやらないでコミュニケーションの手段としての英語を」などと言われることが多い。もっともこれは応用言語学や第二言語習得研究の分野では有名…