『英文理解のための基礎知識』から『英文理解の基礎知識』までの四半世紀(その1)
『英文理解のための基礎知識』以前
持田が大学に入ったのが1993年ですが、その頃から流行りだしてきたのが、認知意味論をベースにした学習英文法でした。バラバラに覚えてもなかなか定着しない、母語である日本語に干渉されて間違えて覚えてしまう、といった問題を解決するために登場したのが、この認知意味論ベースの英文法でした。池上嘉彦先生の『〈英文法〉を考える』を皮切りに、田中茂範先生の『発想の英文法』や、阿部一先生の『基本英単語の意味とイメージ』などが、英語学習者や英語教師の関心を集めていました。
この後、大西先生とマクベイ先生のコンビによる『ネイティブスピーカーの英文法』が出てきました。
このように、1990年代の学習英文法は「意味とイメージ」の時代でした。しかし持田自身もそうであったように、こうした著作に共鳴できる学習者はすでに学校などで一通り従来からの英文法の体系を学んでおり、一連の著作は過去の学習内容を整理する役割を担ったのでした。これからゼロから英語を、英文法を学ぶためには、意味やイメージだけでなく、英語のかたち、すなわち語順や語形に焦点を当てていくことも必要なのだということを再認識するようになりました。これが1996年から1997年のころのことです。
『英文理解のための基礎知識』を書く
1996年の夏に、バイト先の塾で中学英語から当時の高校の「英語I」くらいのレベルに引き上げるにはどうしたらよいのかと考えざるを得ない事態に直面しました。その時に、英語の文のしくみを可視化しながら一つずつ、文を分析しながら覚えてもらおうと思ったわけです。そこでとりまとめたのが、『英文理解のための基礎知識』の原型だったのです。
(続く、たぶん・・・)