『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その13)
Chapter 2 動詞と文型(その9)
7ではS+V+O+Cを扱っている。7.1.ではこの文型の成り立ちを示している。ここで文を〈情報〉ではなく〈出来事〉として埋め込む場合と述べているが、これはp.108のthat節のところで詳述している。中村(2009: 63)は、seeやhearなどの動詞の後でthat節を用いた場合について「「という情報を聞いて知る(be told, informed)」の意味であり、本来の知覚の意味とは異なる意味にな」ると述べている。また、宗宮(2009)はCが表す状態がVに付随しVの時間の中でのみ存在するとし、客観的な特徴はSVOCで言うことはできず、thatと節で言う必要があると述べている。本書ではこうしたO+Cとthat節の意味的な違いに言及した上でいわゆるネクサスに触れている。
7.2.ではS+V+O+Cの意味の枠組みという項目を立てている。これは町田(1994)の分類を参考にしつつも、伊藤(1975)の二分法を踏襲した。これは突き詰めればS+V+O+CがS+V+Oの拡張にすぎないという考えに至る。実際、生成文法の立場からの外池(2003)や認知言語学の立場からの佐藤・田中(2009)などの分析を取り入れればそうした展開が可能であろうし、筆者の関心もそこにあるのだが、本書の時点では抑制的に記述した。ただし、このあとの「2つの「S+V+O+名詞のまとまり」」では田中らの枠組みを援用したものとなっている。なお、ここまでの記述は阿部・持田(2005)にはない。これは阿部・持田(2005)の練習問題を伴わない項目を立てないという方針に基づくものである。