持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

学会○○○

「ゲームセンター○○○」

共通する3文字を答えなさいという空所補充問題である。大学院の授業を担当しているある教員が授業で、「学会発表では参加者が共有できる問題提起をすることが大切である」という趣旨のことを仰っていた。極めて重要なことだと思う。特に異なる分野で活動する人たちに対して連携を呼びかけようとするときには、この視点は欠かせないと思う。この視点がないと、参加者には聞き流されるか、感情的に排除されるかのどちらかであろう。残念ながら内輪の研究者に話すかのような内容・話し方で参加者に聞き流されていたり、発表者がけんか腰で参加者に露骨な嫌悪感を抱かれている発表が少なくないように思う。
言語教育の場合、現場一筋の実践的な研究をする教師もいれば、大学で理論研究をする研究者もいる。言語学畑の研究者にも、日本語を対象とする研究者、英語を対象に記述研究をする研究者、より生成文法認知言語学など、理論研究を中心に行う研究者、社会言語学や心理言語学の研究者などがいる。さらには哲学や文学の研究者もいる。社会学文化人類学の知見が必要なこともある。こうしたなかで、限られたわずかな接点をとりあえずの拠り所として問題提起を行い、そこから少しずつ共通の問題意識を醸成して協働にもっていくことが大切だと思う。「学会○○○」と呼ばれるような行為は慎まなければならない。とかく自分の研究に自信があるときにはそのような態度になりがちである。だが、相手が当該分野においていかに無知で、どんなに稚拙な議論であっても、そこから自らの研究に対するメタ認知の機会が得られる。隣接領域といっても知識がゼロに近い人だって学会参加者の中にはいるだろう。そういう人にはこういう研究があるのだということを知ってもらうだけでも最初の最初の段階では十分である。そこから少しずつ理解を深め合うことが重要なのだと思う。