持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

夏期講習のこと

英文理解のための基礎知識

今年度は、出講先の予備校の夏期講習で、高1と高2の講座を担当することになっている。
予備校の読解の授業では、通常授業から読解文法に習熟することに主眼を置いている。分かりやすい言い方をすれば語順であり、語順を支える規則である。これらは中学校と高校の英語Iでほぼ網羅できるもので、高2向けの講座では生徒にとって既習であり、高1向けの講座の生徒にとってもおおむね既習と言えるものである。だが、知っていることと使えることとは別の次元の問題である。一般に受験英語というと、こうした知識を文法問題を解くことにつなげがちだが、そういう接続は受験学年になってからでよい。もっと重要なのは、既習の知識に誤解がないかどうかを確認し整理し、その知識を読解や作文で使えるように練習することである。高1・高2の講座とはそういうものである。

日本語の知識・技能を生かす

生まれてから日本語を母語として使用し、小学校・中学校の国語の授業で訓練されてきた日本語の力を、英語の学習にも活用して欲しいと思う。生徒の持つ日本語の知識に気づかせ、英語の知識との類似点・相違点に気づかせる。生徒の使う日本語の技能を意識させ、英語の理解・表現にも使えるものはそれを促し、使えないものは注意を喚起し、英語の方法を提示し習熟させる。そうしたことも必要だと考えている。
ときどき、「そんなこと国語の授業でやったっけ」みたいな顔をする受講生もいるわけだが、それも仕方があるまい。私が二足のわらじを履いている理由がそこにあるのだから。