コンポジションと作文指導
コンポジションと作文
森岡(1962)ではアメリカの言語教育において行われている「コンポジション」(composition)と日本の作文教育を対比させている。コンポジションは古くはギリシアに端を発する修辞(rhetoric)からの発展であり、作文だけでなく言語の4技能、さらには思考を支えるものである。見方を変えれば言語教育の基礎を作文に置くというのがコンポジションであると言えよう。
森岡によると、コンポジションとは次のような要素から構成されている。
- 構想
- 主題/材料/構成
- 配置
- 段落
- 修辞
- 文/語/文法/文体/句読法/綴り/記載法
森岡はコンポジションのこうした要素は日本の国語教育においても行われているものであると指摘している。しかし同時に指導の体系が確立していなかったり、重点の置き方に偏りがあったり、各事項が有機的に結びついていない可能性があることも認めている。
森岡が上記の指摘を行ったのは40年以上前のことであり、現在までに学習指導要領が何度も改訂されている。しかし現在においても国語教育における作文指導がコンポジションのように組織化されてはいないようである。岩間(2004)は文化審議会による「これからの時代に求められる国語力について」の答申に含まれる「書く力」の部分に関して、次のような3つの点に着目している。
- 場面に即した文章作成能力の重視
- 論理的文章を書くことの重視
- 情報処理の重要性
岩間はこれらの点が現行の学習指導要領と必ずしも一致しないと指摘している。
「書く力」における国語教育と英語教育の連携
文章を書く力を養っていく上で国語教育と英語教育が連携する場合、それぞれの教科が次のような点に留意する必要がある。
- 国語教育:文文法の意識化・テクスト性の意識化
- 英語教育:日本語と英語との対比
国語教育においては、日常会話の日本語から文章の日本語に導くための配慮が必要である。そして英語教育においては、文章の日本語と対比させながら文章の英語に習熟させていくための配慮が必要となる。