持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その1)

講座のコンセプト

千葉市美浜区、幕張ベイタウンにある学習塾、「Sアカデミー」の組田幸一郎代表からこの講座を担当して欲しいとのお話をいただいたのが昨年の春のこと。講座の趣旨は、高校2年生が秋から勉強を始めてGMARCHレベルの大学に合格できる力をつけることができるようにする、というものであった。

持田は1996年に、大学進学率が5割程度の高校に在籍する生徒に一般入試対策として英語を教えたことがあった。このため、その当時の教材を大幅に改訂することで、組田代表の要請に応えることとした。また、昨年の夏頃、駿台予備学校田中健一先生による『英文法基礎10題ドリル』(駿台文庫)が刊行されたことも、この講座の内容を考える上で示唆的であった。『英文法基礎10題ドリル』は従来の大学受験生向けの一般的な文法問題集よりもはるかに基礎的な内容を扱うものではあったが、同時に10題ドリルが独力で解けないレベルの受験生の存在が浮き彫りになった。

持田自身は出講する駿台予備学校の学生に対しては『英作文基本300選』および『英語構文基本300選』(いずれも飯田康夫著、駿台文庫)の例文を覚えるようにと指導していたが、組田先生からのご依頼と田中先生のご著書によって、「300選以前」のところに留まる受験生が多いことに改めて気づいた。そこで、300選シリーズの前に10題ドリル、そしてまずは10題ドリルに取り組むことができるだけの基礎力を涵養するところからシラバスを立ち上げようと考えた。

講座の基本コンセプトは「英語を覚えるための授業」である。頭の中に英語の知識がなければ英語を使うことはできない。暗記か理解かという二元論に陥りがちな受験英語であるが、暗記しなければ始まらない。しかし丸暗記は労多くして得るものが少ない。英語の知識を覚えやすく、使いやすくするには、英語を分析的に捉える必要がある。しかし、多くの受験生は英語、もしくはことば全般を分析的に捉えることになれていない。このため、まずはことばを分析的に捉えることを学ぶところから始めようと考えた。

素材の選定

まずは生徒に覚えさせる素材を選定した。これは中学レベルの英語を復習できるものであることを第一の条件とした。組田先生のご著書に『短文で覚える英単語1900』と『フレーズで覚える英単語1400』(ともに文英堂)がある。また、持田の英語教育の師匠である阿部一先生が浦島久先生と出している『コーパス口頭英作文』(DHC)がある。この3点を生徒に覚えてもらうこととした。これらを学習しやすい順序で解説をしていくことと、その解説に沿った問題演習を行うことを教室で授業の中で行うこととした。

英文法基礎10題ドリル (駿台受験シリーズ)

英文法基礎10題ドリル (駿台受験シリーズ)

英語構文基本300選 (駿台受験シリーズ)

英語構文基本300選 (駿台受験シリーズ)

高校入試 短文で覚える英単語1900 (シグマベスト)

高校入試 短文で覚える英単語1900 (シグマベスト)

高校入試 フレーズで覚える英単語1400 (シグマベスト)

高校入試 フレーズで覚える英単語1400 (シグマベスト)

コーパス口頭英作文 (CD BOOK)

コーパス口頭英作文 (CD BOOK)