古文
苦手な古文
わけあって、古文の講義をすることになった。もともと、古文は得意ではなかった。高校2年の時、定期試験の時間割がなぜかいつも物理と古典で同じ日になっていたことが原因である。物理が苦手であった私は進級のためになんとしてでも最低限の得点をあげる必要があった。そのため、試験前日は古典の勉強に時間を割くことがどうしてもできなかった。3年に進級してからは、そうした縛りもなくなったわけだが、なかなか古文が読めるようにはならなかった。当時古文を担当していた教師にそのことを相談したら、「細かいところを気にせずに全体を捉えるように」と言われた。しかし、彼の授業で全体を把握する方法を教わった記憶がない。
「受験古文」の体験
当時は、『古文解釈の方法』(関谷浩著、駿台文庫)という参考書が発売されたばかりの頃であった。論理的な古文解釈を志向している感じがあって、読みは興味を持ったものの、結果的には自分には合わなかった。浪人してからは、高橋正治先生に直接教わる機会を得た。現代語と違うところを勉強すれば古文は読めるようになるという明快な主張が小気味よかった。時枝流の入れ子構造で文構造を説明されていたのも印象的であった。この頃、『古文読解教則本』(高橋正治著、駿台文庫)に目を通して見たのだが、自分でもできそうな気がする参考書という印象をもった。もっとも、受験勉強自体がなあなあだった私には、最後までやり通すだけの根気はなかったが。。。
そして今、古文と向き合う
浪人時代の記憶から、まず、『古文解釈教則本』と『古典文法入門』(桑原・中島・関谷共著、駿台文庫)を購入した。後者には巻末に「ミニ国語学史」ともいうべき内容の記述があり、高校古文レベルの内容を扱う上で、どのような言語知識を教師が持つべきかのヒントが得られた。手元に時枝の『日本文法文語篇』があると思って探したら、口語篇しか持っていないことに気づいて、これも買った。これらをさっと読んでいくなかで、古典文法と、自分が英語や現代日本語を通じて得た言語学的知識とがうまくかみ合ってきた。
ネットで古文関係のことをググっていたら、小西甚一という方の名前を見つけた。なにやらおもしろそうなので、この方の書かれた、『国文法ちかみち』『古文研究法』(ともに洛陽社)という2冊の参考書も手に入れた。いずれも、高校時代に読んでいればよかった、と思えるような内容であった。
現在、講義レジュメを作成中で、来月講義をするわけだが、そのときにまた、今回の過程のなかで学べたこと、気づいたことなどを、このブログに書こうと思う。
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