高等学校学習指導要領における読解力について(その3)
昭和45年改訂版
このときの改訂では科目編成の変更はない。よってここでも「現代国語」を取り上げる。「現代国語」の目標は次のようになっている。
- 国語による理解と表現の能力を高め,思考力・批判力を伸ばし,心情を豊かにする。
- 目的や場に応じて的確に聞いたり話したりする能力と態度を身につけさせる。
- 文章を的確に読み取り,深く読み味わう能力を高め,読書の態度と習慣を身につけさせる。
- 目的に応じて文章を的確に書く能力と態度を身につけさせる。
- 国語に対する認識を深め,言語感覚を豊かにし,国語を愛護してその向上を図る態度を養う。
科目の内容のうち、「読むこと」については次のようになっている。
- 次の事項について指導する。
- 主題や要旨を的確にとらえ,それについて自分の考えを深めること。
- 文脈を追って論理の展開を考え,要点をつかむこと。
- 文章の構成を理解し,主要な論点と従属的な論点との関係を考えて読むこと。
- 主題や論旨を生かすために材料がいかに効果的に用いられているかについて考えること。
- 作品に描かれた情景や人物を豊かな想像力をもってとらえること。
- 作品中の人物の性格,心理,思想など,また,書き手のものの見方,感じ方,考え方を読み取り,それらについて意見をもつこと。
- すぐれた文章表現を読み味わい,作品の表現上の特色を理解すること。
- 語句の意味,用法を的確にとらえること。
- 当用漢字がじゅうぶんに読めること。
- 朗読を通して,作品の読解,鑑賞を深めること。
- 次の活動を通して,上記(1)の事項を指導する。
- 記録・報告,説明などを読む。
- 論説・評論などを読む。
- 詩歌,随筆,小説,戯曲などを読む。
これに関連する「内容の取り扱い」については次のような留意点が上がっている。
- 論理的な文章の読解力を伸ばすことを重視し,これを表現に応用することができるようにくふうすること。
- 文学作品の指導は,かたよったり,狭くなったりしないように注意すること。また,作者ならびに作品の背景などの扱いは作品の読解,鑑賞の参考になる程度とすること。
- 目的に応じて書物を選び,進んで読書し,参考文献を適切に利用する態度を養うようにすること。