持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

学習文法の句構造規則②

「基本4品詞とその投射」 前回の語彙範疇をめぐる議論から学習文法における「基本4品詞」は次のようになる。 名詞 動詞 形容詞 副詞 生成文法の用語に従えば、この基本4品詞の投射が英語の運用における単位となる。これは田中(1993)や田中・佐藤・河原(20…

学習文法の句構造規則①

これまでに生成文法の変遷を踏まえながら学習文法や文理解への援用の可能性を検討してきたが、ここではこれらの知見を援用してどのような学習文法の体系が考えられるか、基本構造(変形生成文法でいう基底構造)に絞って考えていく。なお今回の議論は以前にh…

生成文法と文理解⑤

下位範疇化を句構造規則に組み込む理論 ここまでは生成文法のなかでも日本で広く知られている統率・束縛理論(Government and Binding Theory; GB Theory)における句構造規則の一般化について見てきたが、次は逆に句構造規則の中に下位範疇化特性を組み込ん…

生成文法を英語教育に活かす視点を提供

本書の著者は英語教育誌において学習文法関係ではオピニオンリーダー的存在で、そうした記事を1冊にまとめたのが本書である。 「英語教育」を研究していくと学習対象であるはずの英語の分析がおろそかになりがちだが、そうした状況に対して本書は有益な視点…

「意識的入力」ができる学習書

英語を身につけるにはできるだけ多くの英語に触れることが大切といわれる。しかし実際には英語に「どれくらい触れたか」ということと同じくらいに「どのように触れたか」ということも大切なのだ。 本書は通訳訓練で用いられる方法を一般学習者向けに見直した…

生成文法と文理解④

句構造規則の一般化 Borsley(1991)の言うようにChomsky(1965)には句構造規則と下位範疇化に重複が見られる。これを解決する方法として句構造規則の一般化が試みられている。つまりVP(動詞句)やNP(名詞句)などの範疇ごとに規則を設定するのではなく、さま…

生成文法と文理解③

句構造規則と文理解 英文解釈などの文理解を目的とした学習書で生成文法の句構造規則の考え方を援用しているものは、変形規則を援用しているものと比べて少ない。これは英文解釈の参考書の多くが基本的な文法知識をある程度学んだ人を対象としているためと思…