持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

冬期講習から3学期授業へ

センター試験直前だが

大学受験といえば、センター試験が今週末に控えているわけだが、受験するのは受験生本人であって予備校講師ではないので、健闘を祈りつつ、こちらは高1や高2の3学期の授業の準備をする今日この頃である。高1のクラスでも、この時期までに入試に必要な文法知識がほぼ出揃うので、それをおさらいしながらより高度な読み書きにつなげていけるようにしなければならない。高2も同様だが、読解方略も積極的に扱っていくようにしたい。

問題集とオレンジペンの愚

冬期講習中に、問題集にオレンジのペンで答えを書き込んでシートで隠して小テストに備えるというのは勉強じゃない、ゲームだ、と生徒に話した。高2の生徒は、学習のパラダイムの転換の必要性に気づいたようだったが、高1の生徒のなかには「何がいけないの?」というきょとん顔の者もいた。そうした学習で高校入試を突破したという「成功体験」を持っている子もいるので、彼等の持っている枠組みに揺さぶりを掛けていくのはなかなか難しい。中学レベルではawareness raisingで文法を学ぶこともないので仕方あるまい。
ところで、問題集を執筆する側は、こうした安直な使われ方をされている現実をご存じなのだろうか。それとも学校で一括採用されるという商業的成功があればそれでよいのだろうか。問題集の解説は漫然と読んでいるだけだったり、丸暗記するのでは意味がなく、理解と納得によって定着させ、実際の言語活動の際に意識に上り、言語活動をモニタリング/コントロールできるようでなければならない。Mclaughlinに言わせればこうした制御的処理はやがて自動化されていくわけだが、これが伊藤和夫先生が『英文解釈教室』のあとがきで仰る「血肉化」ということになるのだろう。そう考えると、受験参考書であっても学習の過程を考慮したものでなければならないということが見えてくるのである。