持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

冬期講習と個別指導

冬期講習

予備校の冬期講習は、高1と高2の講座を担当している。高1は下位クラスの担当であるため、中学レベルの文法事項を確認しながら大学入試レベルの英語の読み書きへの準備となるように導いていく。文法項目としては従属節を扱っている。関係詞にせよ、疑問詞にせよ、wh-節を難しく感じる生徒が多いようだ。高2は中位クラスの担当で、文法項目としてはやはり従属節中心だが、読解教材があり、読解文法として文法知識を活性化させていく。こちらの講座はすでに終了しており、おおむね好評であったようだ。

個別指導

ここでいう個別指導とは、指導料を徴収するものではなく、予備校での生徒からの質問の延長線上で行われているものである。この時期になると、自由英作文の添削を持ち込まれることが多い。秋口からずっと添削指導している生徒がいるのだが、初めのうちは支離滅裂な文章しか書けていなかったのが、徐々に筋の通った英文が書けるようになっていくのを見ると、うれしいものだ。ただ、形態素レベルの誤りが目立つのでそこをしっかりと生徒自らがモニタリングできるようになって欲しいと思う。
高卒、いわゆる浪人生のクラスでは高校低学年の講座と違って文法を手取り足取り扱わないせいか、「あの先生は文法や構文をあまりやってくれない」と思われているふしもある。しかしそれば、読解にせよ、作文にせよ、上位クラスに在籍する高卒生にとっては総合力での勝負になるのだから、文法を扱う割合が相対的に小さくなるのも当然であろう。
英作文を添削している生徒にしても、文法が完全でないにも拘わらず、結束性・統括性が保たれたしっかりした文章が書けるようになってきている。これを「おまえは文法がダメだから文脈のことを考えるのはまだ早い」と言ってそうした訓練をさせないでいたら、形態レベルも、統語レベルも、談話レベルもすべて滅茶苦茶なままだったかもしれない。それよりも、ライティング・プロセスの中で、「やべぇ、文法にも注意しないとダメだ」と生徒自らが意識できるように仕向けていくことのほうが大切である。