持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

管理する時間・支配される時間

ペースメーカーとしての大学院

昔、大学受験のときに予備校に通うのと、自宅浪人とを比べた場合に、勉強のペースを維持できるという理由で予備校に通うというケースが多かったように思う。現在では学力の勉強の仕方の見直しなど、受験勉強を再構築していく意味あいから予備校のニーズが生じている部分もあるので、事情はやや異なるかもしれない。
昔の浪人生と同じようなことが、大学院にも言える気がする。文系の分野の研究は文献研究によって進めていくことが多いので、文献を読むことで研究が可能となる場合が多い。その場合は大学院に籍を置かなくても修士論文レベルの研究は可能である。だだ、修業年限が決まっていないと、目先の仕事を優先してしまい、研究が疎かになってしまうことが多い。それに対して修業年限が決まっているところに学費を払って籍を置くと、元を取らなければという意識と相まって、研究せざるを得ない状況に自分を追い詰めることができる。
修論研究は修士課程において最も重要である。だが、これにいわば邪魔をしてくるのが、ゼミ以外の選択授業である。こうした授業は自分で本を読むよりも効果的に知識や技能を習得できる機会を提供するものである。しかし、それが過剰なものになると、修論研究を圧迫するようになる。それでは本末転倒である。なぜ、大学院にもなって、授業中心の管理教育を行おうとするのだろうか?院生の研究を純粋に支援する場であって欲しいと思う。