持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

国語教師と外国語

逃避の末なのか

謙遜なのか事実なのかわからないが、英語をやりたくないから国文専攻、みたいなことを耳にする。謙遜であって欲しいと思う。特に国語教師として教壇に立ったり、研究者として彼らの理論的支柱となろうという場合はそうあって欲しいと思う。母語だけを知り、母語によって母語を教えるだけの人間に、どれほど効果的な国語教育ができるというのだろうか。反論はあろう。だが、私自身が受けてきた国語教育から考える限りでは、そうした疑問を禁じ得ない。
私自身も、日本語と英語しか読めないので、研究をしていくうえでやや窮屈な思いをしている。フランス語などが読めれば、ヨーロッパの教育がもっと深く理解できるのかもしれないし、中国語が読めれば漢文教育に必要なリソースに幅広くアクセスできるかもしれない。英語すら読めなかったらどうなっていただろうかと思うとぞっとする。研究室で自分しか読んでいない英語の文献にミスリードがないか指摘してもらえないのも、心細かったりもする。もっとも、他の院生が読んでいる文献をすべて読んでる院生などいるはずがないので、無い物ねだりではあるが。