持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

漢字と漢文と漢和辞典

漢字本を読む

最近、非常勤先の高校での空き時間を利用していろいろと本を読んだり、ラテン語や中国語の学習をしたりしている。そんな状況で漢字・漢文に関する本を読んだりすることがある。最近読んだのは次の3冊である。

漢字は日本語である (新潮新書)

漢字は日本語である (新潮新書)

漢和辞典に訊け! (ちくま新書)

漢和辞典に訊け! (ちくま新書)

高校時代に中国史をあまり真面目に勉強してなかったので、やや苦しみながらであったものの、興味深く読めた*1。手元にあった『国文学』昭和37年10月臨時増刊の特集記事などにも目を通し、漢字漢文教育についてもっと勉強しなければと言う思いが強くなった。

漢文のその後

漢文の学参は腑に落ちないと感じるところがあり、疑問を解決しようと深みにはまっている。

漢文基本語辞典

漢文基本語辞典

漢文語法ハンドブック

漢文語法ハンドブック

予備校には「漢文科」という組織があって、漢文を専門に教える講師がいる。だが、高校や塾には漢文を専門に教える人はいない。だから、漢文授業が興味深いものにはなりにくく、なんの役に立つ授業なのかを生徒だけでなく、教師の方も認識できていないのかもしれない。だが、私見では、漢文学習は現代語での言語技術や、外国語学習の基盤となるメタ言語能力の育成に有効ではないかと、おぼろげながら考えている。このあたりを、4月からの大学院での研究の中で取り組んでいきたいと考えている。

漢和辞典

高校時代に買った『新明解漢和辞典』の第三版が自宅の仕事場にある。その箱は経年による痛みがあるものの、ページ自体はきれいである。いかにこの辞書を引いていないかがよく分かる。だが、一連の漢字本を読んだことで、最近にわかに漢和辞典がおもしろく感じられるようになった。

修訂増補 詳解漢和大字典

修訂増補 詳解漢和大字典

学習者が漢和辞典を引きこなしながら漢字の意味や成り立ちなどに興味を持ち、日本語の語彙力増強に活かすことができれば、英語学習の際にも語形成の知識に習熟し語彙力の増強が図れるのではないだろうか。また西洋語の概念が日本で漢語に翻訳され多くの語彙が生み出されたが、漢字・漢語の知識の底上げによってカタカナのまま取り込まれる外来語の増殖を抑制することができるのではないかと思うのである。

*1:世界史は全般的に勉強してない(全体否定)ので、ラテン語本についても同じことが言える。