高等学校学習指導要領における読解力について(その1)
昭和26年改訂版
ここではまず、「小学校・中学校・高等学校における国語学習指導の一般目標は何か」という項目を設けている。このなかで、目標の提示に先だって言語の役割について言及している。
- 言語は,互いに意思を通じ合うのに必要で,社会生活には欠くことのできないものである。
- 言語は,思想や感情と深い関係を持ち,考えを進める上に欠くことのできないものである。
- 言語は,どんな学問や技術を学んでいくのにも媒介をなすものであって,この意味で文化の獲得創造に欠くことのできないものである。
このような言語を正しく効果的に使っていくことが国語学習指導の仕事であるとしている。そしてこの目標を4技能に分け、「読むこと」については次のように規定している。
情報や知識を得るため,経験を広め教養を高めるため,娯楽と鑑賞のために,広く読書しようとする習慣と態度を養い,技術と能力をみがくこと。
これを分析すると、「読むこと」の目的は大きく3つに分けられる。
- 情報や知識を得る。
- 経験を広め教養を高める。
- 娯楽と鑑賞
また、このために学習することは次のようになる。
- 広く読書する習慣と態度を身につける。
- 読みの技術と能力を磨く。
これらを高等学校における具体的目標として捉えると次のようになる。
- 第一学年
- 実用文を速く読む。
- 古典に読みなれる。
- 研究・調査のために書物の利用ができる。
- よい映画を選び,それを理解する。
- いろいろな詩を味わう。
- 長編小説のおもしろさがわかる。
- いろいろな読書技術を身につける。
- 余暇を利用して文学を味わう。
- 第二学年
- エッセイ・論説などに読みなれる。
- 古典の鑑賞ができる。
- 新聞の論説が読める。
- 劇の鑑賞ができる。
- 近代詩を味わう。
- 短編小説の鑑賞ができる。
- やさしい漢文が読める。
- 第三学年
- 目的に適した書物を選び,書物に適した読み方ができる。
- 国文学史のだいたいがわかる。
- 翻訳された世界文学に読みなれる。
- 劇の演出ができる。
- いろいろな文学の形式や特徴がわかる。
- 国語・国字問題に関心を持つ。
- 読書技術が身につく。
- 読書習慣が身につく。